第196話 南雲司令長官訓示
大日本帝國海軍空母機動部隊、旗艦、空母赤城。
乗員数は約1600人である。
開戦時の搭載機数は
零式艦上戦闘機21機予備7機
九九式艦上爆撃機18機予備9機
九七式艦上攻撃機27機予備9機
計66機予備25機
総数91機であり、搭乗員は約150人である。
史上最大の本作戦が終了した今、赤城は機体及び搭乗員を相当数失ったが、軍籍をハワイ女王国として真珠湾に入港し、補給と修理、そしてハワイ女王国仕様の塗装作業が始まり、ハワイ初、ポリネシア初の空母戦力として生まれ変わろうとしていた。
その空母赤城の飛行甲板、縦約250メートル、幅約30メートルの甲板に、多数の乗員が整列した。
そして、第一航空艦隊司令長官、南雲忠一中将が登壇する。
「気ヲヲツケェィ!!!!南雲司令長官にィィ!!!!敬礼ィィ!!!」
南雲長官は鮮やかに敬礼すると、一拍おいて話しだした。
「諸君!この度のハワイ作戦は、成功である!!大本営の定めた作戦目標通り、いやそれ以上の完遂といえる!!この成功は、ひとえに我ら空母機動部隊の働きがなければなし得なかったものである!!そして、優秀な搭乗員達をはじめとして!乗員の皆の命を掛けた働きがこの成功を導いたのである!!!特に搭乗員には還らない者も多く、我々の払った代償は決して少なくはない!!」
「しかし!!戦いは始まったばかりだ!!日本のために!先に逝った者達のためにも!我々は前に進み続けねばならんのだ!!」
「そして!先だって示したとおり!諸君等空母赤城の乗組員は、今後その全てがハワイ女王国の軍籍となる!!」
・・・・やっぱり本当かよ・・
・・もう日本に帰れないのか?・・
聞いていたとはいえ、皆はザワザワと不安を口にする。
「安心してほしい!!国籍が変わる訳ではない!!諸君はあくまでも、大日本帝國の兵として籍は残される!!応援派遣だと思ってほしい!!!一定の期間毎に、交代要員が来て日本に帰ることも考慮されている!!ただ対外的には、ハワイ女王に認められた、ハワイ女王国兵と、軍籍を変える形となる!!!」
「諸君!!ハワイ女王国のために戦うことが!日本のためになるのだ!!そのことをゆめゆめ忘れず!!奮励してほしい!」
「私は第一航空艦隊司令長官として、航空参謀源田実中佐と共に空母加賀に移るが!!今後ハワイ女王国航空艦隊司令長官として諸君を指揮するのは!!参謀長であった草鹿龍之介少将が引継ぐこととなる!!」
「草加少将は航空戦術の第一人者だ!!諸君は名実ともに大船に乗った気持ちで任務に当たってほしい!!」
「アメリカ軍の情勢は、アメリカの残存艦隊は、大半がアメリカ本土西海岸サンディエゴ基地方面に撤退したようだが、駆逐艦等は撤退せず、マウイ島ラハイナ泊地に駐留することにしたようだ。」
「我等との距離は130キロくらいしかない!!船でも3時間、航空機なら20分の距離である!!我等は女王の中立宣言のもと、とんでもない近さで相対していることになる。
今後は極めて政治的に、この戦争が展開してゆくだろう。」
「だが心配は無用だ!!戦艦大和が睨みを効かせ、沿岸砲台が復旧すれば、海の護りはかなりのものとなる!さらに航空戦力は、ミッドウェー、ウェーキを占領すれば、日本から島伝いに戦力補強が可能となる!!」
「繰り返すが!!諸君がこのハワイ女王国を護ることが!!日本を護ることに繋がるのだ!!頼んだぞ!!諸君!!以上!!!」
「気ヲヲツケェィ!!!!南雲司令長官にィィ!!!!敬礼ィィ!!!」
降壇して去りゆく司令長官を見詰めながら、新海 空少尉、那須 與一郎一等飛行兵曹、神鳥谷 仗一等飛行兵は、気持ちを新たにこれからの戦いに思いを巡らすのであった。
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