第186話 一番槍
度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度!!!弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩!!!
鳴り響く馬蹄の音は、日米開戦の前奏曲となってスコフィールド基地に響き渡る!!!
対するはアメリカ陸軍、第24歩兵師団と第25歩兵師団の2個師団約15000名である。
しかし、構築された陣地は、戦艦大和以下の艦砲射撃により大きく損なわれ、付近一帯は大爆発の余韻で灰色の煙が霧のように漂い、著しく視界を悪くさせていた。
陣地からはうめき声、叫び声が溢れ、
各指揮官も含めアメリカ兵達は急ごしらえの塹壕にうずくまり、或いは地べたに横になって、恐怖が過ぎ去るのを待つのみであった。
しかし今度は大日本帝国陸軍による四一式山砲、九二式歩兵砲による制圧砲撃が間断無く着弾しだすと、アメリカ兵は戦艦大和の艦砲射撃の再来を恐れ、指揮系統が麻痺して部隊間の連携も途絶、部隊の増援や移動も停止し、各員はスプリングフィールドM1903小銃の弾倉に30-06スプリングフィールド弾を装填し、荒い息を潜めながら周囲を伺うのみであった。
ドドドドドドドドド!!!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度度!!!弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩!!!
「天は味方しておるぞ!!!我に続けィ!!!突撃ィィ!!!!」
弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩弩!!!
「突撃ィィ!!!!突撃ィィ!突撃ィィ!突撃ィィ!賭突睨騎ィ!!!賭突睨騎ィ!!!賭突睨騎ィ!!!」
佐伯隊長は日本刀、刀銘靖光を右手に高々と掲げて突撃を続ける!!
そのすぐ後方には、大きな日本国旗と、ハワイ王国旗を掲げ持つ騎馬旗手が左右に続き、小隊長以下の騎馬部隊が一〇〇式機関短銃に三十年式銃剣を着剣し、弓矢のような鋒矢(ほうし)陣形で突撃する!!!
敵の前線まで300メートル!!!
付近には煙が漂い、視認性が悪い!!
「決して止まるな!!!我に続けィィィィ!!」
佐伯隊長は日本刀を振りかざす!
敵の前線まで200メートル!!!
「幸か不幸か!!前が見えん!!敵も地形もよう見えんわ!!ワッハッハ!!」
爆音でもはや佐伯隊長の声が周囲に聞こえることはない!佐伯隊長は自己の感情の高まりを抑えるつもりもなく一人叫ぶ!!
「源義経の一ノ谷然り!!織田信長の桶狭間然り!!歴史を変えるのは騎馬武者の突撃ヨォ!!」
敵の前線まで100メートル!!!
「お前の名前!!決めてなかったなァ!!ナイトレインボーじゃあ!!頼むぞ!!」
ヒ火火火火ィィィィィンンンン!!!!!
突如名付けられた愛馬ナイトレインボーが吠えると、自分で勝手に防御柵の裂け目を目掛けて敵陣に突っ込んで行く!!!
アメリカ軍の鉄帽と、そして銃口、そして、その面構えが見えた!!!
奴等!!ビビってやがる!!!
「撃てェェェ!!!」
小隊長が叫ぶと同時に、各隊員は腰だめに一〇〇式機関短銃を連射!!
番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番番!!!!!!
「撃てェェェ!!!」「撃てェェェ!!!」「撃てェェェ!!!」「撃てェェェ!!!」
一〇〇式機関短銃は8mm南部弾が30発入った横向き弾倉と、銃口から伸びる銃剣が特徴的であり、隊員は左腕に手綱を絡ませ、左手で弾倉を把持すれば安定した射撃が可能となる、当時の最新兵器として挺進隊にのみ配備された必殺の軽機関銃であり、その勇姿は古来から続く騎馬武者の最終進化である。
対するアメリカ陸軍兵が手にするスプリングフィールドM1903小銃は装弾数5発のボルトアクション式ライフルであり、次弾装填には照準を外して数秒の作業が必要である。
そして性質上高速移動するものに命中させるのは困難であり、実際、各兵は、弾幕射撃を受けながらも辛うじて初弾を放ったが、次弾を装填するその数秒間に肉薄され、成す術はなかったのである。
堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂堂!!!!!!
何騎かを失ったが、騎馬武者の軍勢は敵陣に突入する!!
怒怒ウゥ!!
巨大な騎馬の影がボルトアクション中のアメリカ兵の眼の前に現れる!!!
愛馬ナイトレインボーがその豪脚で次々と蹴り飛ばす!!!蹴り飛ばす!!!蹴り殺すゥ!!!踏み潰す!!!
ヒ火火火火ィィィィィンンンン!!!!!ヒ火火火火ィィィィィンンンン!!!!!ヒ火火火火ィィィィィンンンン!!!!!
馬達もその高ぶりを共鳴させ、吠える!!吠える!!吠えるゥ!!
「敵は混乱しておるぞ!!決して止まるな!!!我に続けィィィィ!!」
佐伯隊長はただひたすら突撃し、陣地を突破してゆく、アメリカ軍は、突如として現れ、瞬く間に死を撒き散らして通り過ぎる騎馬軍団に対処する術もなく混乱を深めるのみであった。
そのすぐ後方には、佐伯挺進隊の後続部隊である3個中隊約500名、九七式中戦車1個小隊3両、九五式軽戦車2個小隊6両などがなだれ込もうとしており、同時に山間部からも回り込んだ遊撃部隊も突撃を開始していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます