第152話 ヴァルキリーの戦術
偵察員から報告が上がる!
「敵水雷戦隊!煙幕展開し砲撃を開始しました!!」
傍らの幕僚長が話しかける。
「司令官、ジャップの水雷戦隊は煙幕に隠れながら砲撃戦を挑んでくるようです。」
「そのようだがジャップのヘッポコ砲などかすり傷にもならん!うるさいハエのように叩き潰してくれる!!」
業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業!!!業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業業!!!豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪豪!!!!!!
司令官の声を待っていたかのように、射程距離に入った日本水雷戦隊に向けて、戦艦テネシーの主砲Mark6、50口径35.6センチ砲三連装砲塔四基12門。
戦艦ペンシルベニアの主砲Mark5、45口径35.6センチ砲三連装砲塔四基12門。
更に後続の重巡洋艦ニューオリンズ、インディアナポリス、ミネアポリスの主砲が次々と火を吹く!!
「よし!!敵の水雷戦隊など近付く前に沈めてやるわ!!ハワイの海底でロブスターのエサになれい!!」
凄まじい艦砲射撃が辺りにこだますると、艦橋内は一気に攻撃的な雰囲気が高まる!
「司令官、敵の水雷戦隊は煙幕に隠れながら接近し、魚雷戦を仕掛けてくるつもりでしょうか!?」
「うむ、敵の水雷戦隊との距離は二万メートル弱。魚雷戦にはまだ遠い。奴等の狙いは煙幕を張って身を隠しながら魚雷戦を試みるはずだ。」
「はい、あとは敵戦艦部隊の砲撃戦に合わせた同時攻撃でしょうか。」
「それもあるな。しかし見ろ、水雷戦隊の放った艦砲の小さな水柱を、散布界もバラバラで撹乱にも援護にもならん。水雷戦隊の距離が遠すぎたな。中途半端な戦術だよ。」
「敵戦艦!左回頭!!」
「先頭の敵戦艦が左回頭を始めました!!反航戦の模様!!」
偵察員から報告が上がる!!
皆が双眼鏡を構える!
「測距班!距離は!」
「約三万メートルです!」
「ふむ、幕僚長の言ったとおり左回頭を始めたぞ。このまま反航戦に臨めば、相互の距離は再接近時約二万での砲撃戦となり、テネシーとペンシルベニアの射程距離だ。」
「はい、これで互角の戦いができますね、司令官。」
「互角?何を言っている?敵の先頭艦を叩けば、あとは恐れるに足らんよ。しかし、ジャップの弾が当たらんのは当然だが、こちらの主砲も三万では当たらんな。」
「はい、こう波が荒い状況ではなかなか難しいようです。」
「最近、射撃用レーダーという新兵器を開発したそうじゃないか、それを搭載すれば違うのか?」
「はい、敵の位置を正確に割り出すそうです。正確な測距となり、特に夜間での射撃に有効だと聞いています。」
「なるほどな。優先的に搭載してもらうよう伝えねばならんな。」
「弾着ッ!」
座座ン!座座暫!座座座座座座座場場ァ!!座座座座座座座場場ン!!
敵の先頭艦が荒れ狂う水柱に取り囲まれる!!!
「夾叉しました!!!」
「よしっ!!!初弾から夾叉するとはやるじゃないか!!このまま続けよ!!まずは敵水雷戦隊に一撃を加える!!」
「砲術長!敵戦艦群との再接近時の距離と時間は?!」
「イエッサー!!!約10分後に距離一万九千に近付きます!!」
「敵水雷戦隊とはどうか?!」
「イエッサー!!約10分後に距離一万五千です!」
「よし!敵戦艦群には本艦のみ射撃を継続!砲術長そろそろ当てろよ!!テネシー以下は敵戦艦群が射程距離に入るまでは敵水雷戦隊に砲撃を続けよ!!間もなく味方の水雷戦隊も攻撃に移る!そうなればあとは任せて我々は敵戦艦との反航戦に全力を注ぐ!!!各艦に伝達せい!!」
「イエッサー!!!」
「よいな!!この戦い!敵の先頭艦を沈めれば勝てる!!!目標は敵先頭艦だ!」
「目標敵先頭艦了解!!」
「ここからか勝負だ!!諸君!!規律こそ軍の魂!!規律こそ強兵!!規律こそ成功と勝利だ!!」
「イエッサー!!!」
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