第144話 カエナ岬にて
はぁはぁはぁはぁ
「疲れたっちゃ~」
ノアは屈んで両手を膝に当て、呼吸を整える。
その周りをケオケオが嬉しそうに尻尾を振って走る。
カエナ岬から東に少し登ると、おあつらえ向きな見晴台があった。
ここからなら周囲の海が一望でき、北に我らが大日本帝国連合艦隊の艦列、南はアメリカ太平洋艦隊の艦列が良く見えた。
「良く見えるよ!ノア!」
新海は軽く呼吸を整えながら振り向くと、屈んだノアの胸元が見えてしまい、思わず釘付けとなるのであった。
その均整な肢体に搭載された主砲は20.3センチ砲クラスと思料された。
「どれどれ!」
ノアは北を見ると「わぁ~」南を見ると「ほぉ~」と呟き、さっきまでの疲れも忘れて遠くを見詰めている。
もちろんケオケオは全くその辺の興味はない。
「見てくれ!あの一回り大きい先頭の戦艦は日本が誇る最新鋭戦艦!大和だ!」
新海は得意満面だ。
「ヘェ~、確かに!very bigっちゃね!名前はヤマト?どういう意味?」
「えっ、大和の意味?、意味は、昔の地名というか、国の名前かな。」
「へぇ、そうなんだ。ヤマトって、ハワイ語では「わたしたちに」という意味よ。」
「発音はイェマァコゥかな、とても似てるっちゃね。」
「へぇ!そういう意味なの?!まさかハワイ語でも意味があるなんて思わなかったよ。」
「私たちのために来てくれたんでしょう?日本は?だからじゃないの?」
「そう言われてみれば、そうか、もしかしてそこまで考えているのかな?だとしたら大和は凄いなぁ。」
「ヤマト、とても良い言葉よ。」
フフフ、ハハハハ!
なんだかとても楽しい気持ちになる。
「ちょっと遠いけど、なんとか見えるね。」
「そうね、ワンツースリーフォーファイブ・・・・・サーティくらいあるかしら?」
「うん、合ってる。日本もアメリカも同じ数に見えるよ。」
「あっ!主砲がこっち向いたぞ!」
「えっウソ!マズイんじゃない!?」
「大丈夫だよ、ここは安全さ!大和はみんなのために戦うぞ!」
「もう!今言ったのすぐ使うわね!」
フフフ、ハハハハ!
二人で和んでいると、晴れ渡る空に突然雷光が周囲を照らす!
「光った!!発砲した!」
「凄い光!!でも何も聞こえないわね。」
「そうだね、音が聞こえるには多分30秒以上かかると思うよ。光より音の方が遅いからね。」
「ヘェ~。そういうものっちゃ」
しばらく眺めていると、波の波紋が高速で近付いてくる!!
思っていたより強いかも知れない!
「ノア!」「えっ!」引き寄せて抱き締め、衝撃に備える!
その次の瞬間!
轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟!!!!!!!!!
衝撃波でノアの美しい黒髪が乱舞し、轟音が二人と一匹を襲う!
ケオケオが攻撃体勢をとり、周囲を警戒する。
ケオケオはやるときはやるのだ。
二人はお互い抱き合っていることも忘れて呆然としていると、次は高らかな水柱が次々と上がる!
「ねえ、凄い、凄すぎるわよ。」
衝撃波は定期的に二人を襲い、ノアの髪は二人を結ぶダンスを舞い続ける。
「そうだね、思ってたより、遥かに凄い。」
二人は固唾を飲んで見守るのであった。
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