第138話 遥かに超える男
「待ってっちゃ~」
「ワンワン!」
「ノア!Come on!」
新海とノアは素早く準備を済ませると、舟をラグーンに残し、徒歩で外
に出た。
目の前に広がるハワイの海。
しかしその美しい海原の奥、水平線には幾筋もの黒煙が立ち登っている。
その黒煙を生み出す源は決まっている。アメリカ太平洋艦隊だ!
新海は入口で立ち尽くす。
すぐに追い付いてきたノアは新海が邪魔でよく見えない。
新海の肩に両手を当て高らかにジャンプする!
「Woah!States Navy Fleets!」
「ノア!」
「はっはい!」
「行こう!」
新海はノアの手を引いて走り出した!
「どうやって行けばいい?山って、この目の前の山かい?」
二人の眼前には結構な斜面の山脈が東西に広がっている。
「そうよ、この山はワイアナエ山脈って言うっちゃよ。頂上まで登れば全部見渡せてとても良い景色だっちゃ!」
「うーん、頂上かい?確かに見晴らしは良いと思うけど、思ったより時間がかかりそうだね。」
「それなら、線路沿いにカエナ岬に行って、少し登るのがベストね!」
「なるほど!OK!Let's Go!」
二人は左手にアメリカ艦隊を見ながら、カエナ岬まで走り出した!
新海少尉は、オアフ島に誰よりも速く上陸し、そしてノアとケオケオという仲間を得て、線路をひた走るのであった。
山本長官の想像を遥かに超える男であった。
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