第132話 敵艦隊発見

「水上偵察機より報告!敵艦隊見ゆ!戦艦3!巡洋艦5!駆逐艦多数!オアフ島カエナ岬南方方位180度距離25キロ!針路北350度!時速40キロ!0730!」


山本五十六司令長官以下、双眼鏡で上陸部隊の上陸成功とその後の突撃を見届けていると、伝令が駆け込んできた。


艦橋内の空気が更に熱気を帯びる!

「居たか!」

宇垣参謀長が答える。その表情は満面かつ凄惨な表情だ!


黒島参謀が応じる。

「来ますな。いよいよ。夜戦も想定していましたが、やはり昼間戦闘を選んだようですな。」


山本長官も双眼鏡から目を離して答える。

「うむ、夜戦では輸送船の発見は困難だし、そもそもアメリカ軍は夜戦は得意ではなかろうしな。」


黒島参謀が付け加える。

「あとは、オアフ島東から別動隊が回ってくる可能性ですが、そちらも間もなく報告が来るでしょう。」


「そうだな。何れにせよ予定通り船団護衛に残す必要はあるだろうな、参謀長どう見る?」


「はい、この船団を守ることが第一です。予定通り、空母瑞鳳、戦艦扶桑、重巡洋艦鳥海、熊野の2隻、軽巡洋艦2隻、駆逐艦10隻を残したいと思います。そして第二に、この戦艦大和で敵戦艦を叩き潰すのであります。」


「いやいや、大和以外にも居るから、宇垣参謀長、さりげなく逸るでないよ。」


黒島参謀も同意する。

「後詰めで空母機動部隊も遠方に居りますからな。万全です。」


宇垣参謀長は空母機動部隊と聞いてピクリと眉を動かす。

「確かに後詰めは重要ですが、ここからは戦艦の役目。空母機動部隊にはこのあとも様々な任務がありますゆえ、機動部隊に頼ることなく、大和で壊滅させて見せましょうぞ!」


「そ、そうだな。その意気や良し、敵戦艦は3隻で間違いないかな?」


「はい、機動部隊の報告によれば、戦艦で残存するのは3隻とのことでしたから間違いないでしょう。」


「戦艦同士の決戦ですぞ!」

まだ言ってる。


「上陸部隊は順調な模様だな、敵の抵抗は艦砲射撃で一気に弱ったな。」


「はい、地形ごと粉砕しましたから、一気に戦意喪失したようです。」


「むしろやり過ぎなければよいのだが。」


「山下奉文陸軍中将ですな、配下の方々も虎のような面構えでしたから少し心配ですが、解放の趣旨は理解されておりますれば。」


「そうだな、虎は野に放たれたということか。一気に真珠湾まで進軍しそうだね。」


「はい、我々も負けてはいられません。」


「よし、宇垣参謀長!行こうか!」

「各艦に伝達!我これより敵艦隊を撃滅せんとす、麾下の艦は示達の通りである。我と共に進み、我と共に撃ち!我と共に勝つのだ!」

「鋭!鋭!応ゥ!」

「鋭!鋭!応ゥ!」

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