第131話 話し合い
コーヒーを口に運びその深みを堪能する。
「ねぇ、教えてよ」
「オーケイ、私の知っている範囲のことだよ。」
「分かってるっちゃ」
「まず最初に、君を含めたオアフ島の人々に謝るよ。今回のこと、本当に申し訳ない。」
ノアはいきなり謝られて、少しキョトンとしたが微笑んだ。
「そう、そうよね。謝るって大切ね。」
「私達日本軍が真珠湾のアメリカ艦隊と飛行場を攻撃したのは間違いない。そして、民間人にも被害は出ていると思う。そのことについては本当に申し訳なく思っている。」
「そして、この戦いのことだけど、コードネームは、ハワイ解放作戦というんだ。」
「ハワイ解放作戦!?解放!?」
「まさか!それでハワイ王国旗なの!?アメリカからの解放だっちゃ!?」
「そういうことだよ。多分今頃は、オアフ島北端のビーチに日本軍が上陸しているころだと思う。」
「そんな・・・・」
「解放なんて!誰がそんなこと!」
ノアは一気に不安な表情を見せる。
その瞳に何かを思い描いているようだ。
「どうした?大丈夫かい?やはり、大多数の人々は、急にハワイ解放と言っても混乱すると思う。」
「我々日本は、アメリカの野望を打ち砕く。そのためのハワイ王国の復興でもあるんだ。」
「ハワイはアメリカではない。ハワイは、ハワイのものじゃないか?」
「ハワイは、ハワイのもの・・・」
ノアは小さく繰り返す。
「私には、分からないよ・・・グランドマザー・・・・」
「 もちろんハワイだけじゃない、アメリカの植民地であるフィリピンやグアム、サイパンも一緒だ。我々が解放することで、みんな独立することができるんだ!」
「独立・・・」
「そう。このままでは、太平洋の島々も、アジアの国々も、日本も、みんなアメリカやヨーロッパの植民地になってしまう。」
「だから戦う必要があるんだ。簡単に言うと、白人の文明は、私達アジアや太平洋の文明を見下している。抵抗なんて出来ないし、その能力も無いってね。」
「戦わないと、この先もずっと従い続けることになるんだ。」
「・・・・・・」
「アメリカに、世界に、日本と、ハワイ王国の存在を、見せつけてやるのさ!」
「ソラ・・・・でも、アメリカは強大よ。こんなことして、大丈夫なの?」
「もちろん戦うからには勝つよ!でも、もし負けたとしても、戦うことが大切なんだ。その記憶は歴史となり、灯火は燃え続ける。そして最後には勝つのさ!」
「・・・・・オーケイ、ソラ、私はあなたの味方になるわ。勘違いしないでね、今は、日本の味方じゃない、あなたの味方よ。」
「ノア、ありがとう。」
自然とテーブルの上の彼女の両手を両手で包み込んだ。
ケオケオは、新海の一世一代の熱弁を、聞いてはいなかった。
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