第40話 母艦
紺碧の空に太陽が輝く
常夏のハワイといっても、上空は驚くほど寒い。
パイロットになって一番驚いたのがこの寒さだ。最初は太陽に近付くのだから暑くなると思っていた。
実際は、空の世界は冷気に満ちている。
北風と太陽の童話は、地上の世界でしか成立しないことを知ったのだ。
太陽は、空の神の許可を得て、地上に恵みをもたらしているのだ。
そんなことを考えていると、いつの間にか低い高度に雲が広がってきた。
あまり針路を変えないように、機動部隊を見逃さないように雲の切れ間を飛ぶ。
障害物競争のように、いくつかの雲を越え、大きめの雲を避けると、突然障害物が終わりを告げ、眼下には待ち望んだ光景が広がる!
青く美しい海に無数の船が白い航跡を引き、海上に流星群が現出したようだ。
この流星群こそ、世界最強、大日本帝国海軍、空母機動部隊である。
空母6隻を中心にして、周囲を戦艦2隻のほか、巡洋艦、駆逐艦が囲んで守りを固めている。
空母機動部隊の集中運用という世界史上初の試みは、完全に成功したと言える。
空の力が海を制する時代が到来したのだ。
私は今まで共にした3機のパイロットに敬礼し、解散を告げる。
ありがとう!また会おう!
3機は翼を翻して母艦に向けて降下してゆく。
みんな帰ってきたぞ!
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