第30話

空にむけ立ち上る対空砲の豪雨をものともせずに、攻撃隊は傘も差さずに一機、また一機と突撃してゆく!


敵の対空砲の撃ち出す曳光弾という名の雷光が激しく迸り、味方機の姿を浮かび上がらせる!


みんな無事に攻撃できるのか?


私も突撃したときはあんな状況だったか?


生きて帰ってこい!


私は進路を母艦のいる北方に向けつつも、第二次攻撃隊の激闘を見続けた。


暴焔ゥッ!

突然!攻撃隊一番機の翼から強い炎が生まれ出た!


一番機は激しく振動する!


クソ!まだ遠いぞ!頑張れ!


しかし、一番機は自らの翼から火が出ていることなどまるで意に介さず、攻撃隊形を保ち続ける。


飛行中に翼の火災を止める方法は、急降下して速度を上げ、風圧で消火を試みるくらいしかない。


一番機は、対空砲の攻撃を一身に引き受けることで仲間を守っているのだ。


しかし、更に攻撃は集中する。

被弾を重ねる一番機の炎はやがて全身を包み込み、火の鳥が具現化したようだ。


だが、火の鳥は攻撃進路を保てなくなり、力を失い、緩やかに下方に墜ちていった。


次は二番機が火を吹いた。


クソッ!あと少しだっ!


二番機も火を灯しながら、不動の態勢で攻撃隊形を保ち続ける。


間もなくだ!


爆撃手は照準器に敵艦を捉えているだろう。投下のチャンスは一瞬だが、熟練の爆撃手が誤るはずもない。


遂に、二番機が爆弾を投下!!

次々と後続機も爆弾を投下する!!


800キロ爆弾は放物線を描き、地球の重力に引き付けられて加速してゆく!


その先は、誤差もなく敵艦のど真ん中だ!


光ィ花ァ!

世界が光に包まれる!


津弩貫唖唖阿吽!

津弩貫唖唖阿吽!!

津弩貫唖唖阿吽!!!

豪ッ破ァ!

たて続けに凄まじい爆発音!破壊音楽が奏でられる!


やったぞ!命中!命中だ!



















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