第16話
敵機は一気に急降下し、その凄まじい速度は圧倒的で、我々零戦の限界速度を超えているようだ。
反転した僚機も急降下するが、距離は縮まらない。
零戦はとても軽量だ。
ジュラルミンの翼に立つと、ベコッとへこんでしまうかと思うほど装甲が薄い。
利点は旋回性能と、航続距離だ。
どんなに遠い戦場にも馳せ参じて、切れ味鋭い刀を武器に縦横無尽に駆け回ることができる。
欠点は、機体強度の低さだ。
急降下などは、翼がたわんで折れそうになるし、防弾は考慮されていない。
鎧は着ないので、例えるなら新撰組みたいなものだ。
そのような、移動と攻撃に特化した機体であるが、我々の技量であれば最良の機体となるのだ。
私の編隊は敵機の追撃を諦め、上空を先回りして、太陽を背に襲いかかることにした。
追撃班と敵機の距離は開いているが、敵機の気を逸らそうと機銃を広範囲にばらまく。
3機の雷撃隊は攻撃が済んだ直後であり、急速に近づく敵機に気付き、それぞれ後方射手が応射を開始した!
敵機が射撃を始める!
雷撃隊は散開する!
かわせ!
擦れ違う!
爆発は起きない、無事だったか!
しかし、次の瞬間、無情にも後方の一機から火が出た!
たちまち後部が炎に包まれる!
許さねえ!よくも仲間を!
敵機は一気に高度を上げ始める。我々を振り切ったと思ってやがる!
我々は太陽を背に、敵機へのダイブを開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます