第2話
んー…どうしよう。
こんにちは、ミラエルです。
神様から特典と名前まで貰い、無事異世界転生しました。
転生…したんだけども…えっと、なんで私猫なんですか?
二足歩行出来るし、服も着てるけれど…なんで人間じゃないの…?
えー、まずですね…起きて早速居た場所が…草原。
はい、な-んにもない草原ですね。人っ子一人…いや、モンスター一匹も居ない草原です。
え、こんな所にか弱い私を放り出して、しろちゃんもくろ君も私を殺す気…?
取り敢えず、傍に落ちてあった布袋を拾う。多分だけど、これ私のだよね…
中身を見てみる。…何にも入っていない。
「え、なにこれ。まさかの最初から詰みですか?」
-あー…、もしもし。ミラエル、聞こえるかぇ?-
「えっ、くろ君!?どこにいるの?」
いきなりくろ君の声が聞こえ、思わず私は振り返る。
しかし、そこにはやはり誰も居なくて、草原には私一人しかいない
-その世界に俺達は居らんぞい。今は念を込めてお主の身体に直接語り掛けているだけだからの-
『へぇー。って!ここ何にも無いですよ!私だってなんか大きい猫に転生してるし、どういう事なんですか!』
私は頭の中でくろ君へと伝わるように念じた。
すると、きちんと伝わった様で返事が返ってきた
-すまんのう、俺もしろも名付けして貰って嬉しくての、ついつい説明を忘れておったんじゃ-
申し訳なさそうにくろ君が言う。私はただ名前を付けてあげただけなのに…何故此処まで喜んでくれるんだろう
何か複雑な事情が…?取り敢えず聞いてみるしかない、よね。
『神様にとって名付けって、そんなに嬉しい物なんですか?』
-そうじゃのう…生き物は産まれた時に名前を親がつけてくれるじゃろ?この世界の神は産まれるものじゃのうて、生きている者達の信仰心と想像で創り出されるものなんじゃ。だから名前じゃなく○○の神、と一括りにされるんじゃ。名前が有る神なんぞ早々居らんわい-
『そうなんですね…』
産まれた時から一括り…人間に人間って言うような物かぁ…なんだか悲しい事聞いちゃったなぁ。
-悲観することはないぞ、これが普通だからの-
思わず表情に出てしまっていたのか、くろ君はさらりと受け流した
大人だなぁ、何歳か知らないけれど…って、これからの事聞かないと!
『いえ、…あ、それで私は一体どうすればいいんですか?何も持ってないし、私猫ですよ?何とかしてくれないと、私狩られちゃいます!』
-大丈夫じゃ、お主が転生したこの世界は獣しか居りゃせんわ-
『…獣…だけ?人間は居ないんですか?』
-お主の言う人間は居らんのう。この世界に生きているのは獣人と、少数のエルフと吸血族、後はモンスター位じゃな-
獣人とエルフ、それに吸血族…全部私が元居た世界には居なかった。
どんなものか見てみたい気もするけれど…食べられたりしないのかな?
獣人は…まぁ私猫だし大丈夫だとして、エルフも多分大丈夫…問題は…
『あの、くろ君。吸血族って出会っても大丈夫な感じの種族?出会ったら即死んじゃうとか無い…よね?』
私がそう言うと、くろ君はケラケラと笑いながら教えてくれた
-吸血族は恐ろしい物じゃないから大丈夫じゃぞい。嗚呼、見た目は人間に一番近い…と言うより、ミラエルの知っているヴァンパイア?やらと同じじゃ。見た目だけはな-
取り敢えずどの種族に出会っても死なない事は確定して、私はやっと安堵の溜息を吐いた。
この世界の種族の事を教えてもらって、拾った布袋の説明など…色々この世界で生き抜くための話をしていたら、既に日が傾いていた。
-嗚呼、もう日も暮れる。真っ暗になる前に先ずは一番近くのフリットランと言う町へ行くが良いぞ。あそこは獣人が多く、馴染みやすいじゃろう-
『分かった。えっと…取り敢えず武器と地図を持っておこう』
-もし困った時は俺かしろ、何方かを呼んだら助けに来る。が、助けられるのは3ヵ月に1度だけじゃ。他は自力で頑張るんじゃぞ。念話は終わりじゃ、ほれ。さっさとフリットランへ行く準備をせい-
そう言い、念話を終えると一気に何かが減った気がした。
恐らくだが魔力だろう。魔法についても色々教わったが、ちゃんと使える奴に聞いた方が早いということで、あまり分からなかった。
そしてどうやら、一番最初に拾った布袋は所謂特典アイテムらしい。
どんな大きさでも入れれて、どんな大きさでも収納できる。そして、通貨と携帯食料ならば、持って居なくても想像さえ出来れば取り出せる。通貨の場合はなにやら制限が有るらしいが、宿の分くらいは大丈夫だろう。
もう一つの特典アイテムは地図と武器。
地図の文字は日本語ではないが、これもまたチートでちゃんと読める。
でも書くことは出来ないから、これは勉強するしかない
魔法登録というものがあるそうで、地図を手に持っていると自分の位置が分かるらしい。現代のスマホのMAPみたいなものだ。
護身用にと貰った武器はレイピアだった。小さい私には普通の剣は重いだろう、との事で、白と黒の色彩が程よく交わっており、魔力を込めると杖としての役割も果たしてくれるとくろ君は言っていた。
因みに、私の属性は光と闇だそう
光は回復に特化しているらしく、闇は攻撃に特化しているらしい。
まぁ、呪文も何も知らないので、まだ魔法は使えませんけどね…
「それにしても…此処からフリットランは…あ、意外と近くにある」
私は地図を開き、現在地からフリットランまでの道のりを歩いた
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