Coda al Fine.
♫♫♫♬♬♩♫♪
ピーンポーン。
ピアノの音が止むのを待ってインターホンを押すと、ほどなくして玄関が開き、頰を仄かに紅くした響子の顔が飛び出した。
「出来た? たくちゃん……っわぁ綺麗!」
響子はすぐに匠が持つ皿に気がつき、手を伸ばす。しかしその指先が匠の指に触れると、「ひゃっ」と小さい悲鳴が上がった。
「たくちゃんの手、冷たぁーっ」
「あ、悪い」
すぐに腕を引っ込めると匠は思ったが、その予想とは逆に響子は自分の手の平を広げて、皿の縁を支える匠の手に重ねた。
「ふふ、冷たくて気持ちいいー」
そう言いながら、匠の手の甲をすりすり撫でて笑っている。音楽に存分に浸かって心地よいのだろう。匠もつられて笑ってしまう。
「そりゃ、どうも——響子の手は、温かいよ」
Fine. Si, segue all' epilog.
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