第3話

猫って良いなぁ、なーんにもしなくて良いし、好きな時に好きな事出来るし…。

あれ?猫になったって…もしかして凄く良いことだった…のかな


「みぃちゃんは今日も可愛いなぁ、ほら、みぃちゃん。お返事はどうした?」


否、前言撤回だ。この要と言う飼い主のせいで私のスローライフは崩れようとしている。

飼い主よ、後ろを見ろ…鬼のような形相でミツが睨んできてるぞ…私に構うなあっちいけ、私の平穏を崩さないでくれ…

そう思いを込めて「にゃぁ。」と、鳴いた。


だがそんな言葉も通じるわけなく、飼い主はずっと私に構いっきりだ。

寧ろ、私がみぃちゃんという単語に反応して、返事をしたと思っているのか、飼い主の顔はにまにまと満足そうにしている

そしてひとしきり私に話しかけ満足したのか、やっとミツの方へと振り返った。


はぁ、やっと平穏が訪れる。と、思ったのに…


「なぁ、この写真のみぃちゃんめっちゃ可愛く撮れてるっしょ」

「この間みぃちゃんがさー」

「みぃちゃんってさー」


と、私の話ばかり…乙女心を踏みにじって地雷を踏み歩いてるようなもんだぞ…

ほら、段々ミツの顔が強張ってるって…ほら気付いて!飼い主!お前いつか刺されるぞ!


「ねぇ、要くん。さっきから猫の話ばっかり。そんなに猫好きだったの?」


「お前さぁ、猫、猫って言うけどさぁ。この子にはちゃんと{みぃちゃん}って名前が有るんだけど。」


「そうやってまた、ね…みぃちゃんの話する。」


「別に良いだろ。みぃちゃんが可愛いからつい話しちまうんだよ。ねー、みぃちゃん」


やばい、これはやばい。完全に地雷踏んだやつだ。

ちらりとミツの方を見ると完全にスイッチが入っているようで、此方をじっとりと恨みがましそうに睨みつけている。


「ねぇ、要君。みぃちゃん居なかったら…また私だけの駄目な要君になるのかな」


「…は……?お前、何言って…」


ミツは立ち上がるとじっと此方を見つめている。これは…やばいんじゃない?

咄嗟に開いていた窓から飛び出す


「みぃちゃん待って!」


後ろから飼い主の悲痛な叫びが後ろから聞こえるが、命の方が大事。今は逃げることに専念しなければ、私は二度目の死を迎えてしまう


走って、走って、走って…


…ここはどこ?

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