第2話

私が猫になって数日が経った。

分かったことが何個かある。


まず、どうやら私の名前はみぃと名付けられたらしい。

あの男がみぃちゃんと私に向かって何度も言ってくるので恐らく私の名前はみぃで決定らしい


それと、猫の本能には絶対抗えないことが分かった。

私がどう冷静であろうと、何故か私の身体はあの忌々しい猫じゃらしに飛びつく。

最後に、私の飼い主であろう男。こいつは多分駄目な奴だ。

毎朝出かけて夜に帰ってくるあたり、仕事はちゃんとしているようだ

ご飯も毎日お皿に入れてくれるし、その…トイレのほうもきちんと片してくれる

じゃあどこが駄目かと言うと…


「要くーん、ちゃんとご飯食べてる~?要君のご飯作りに来たよ!」


そう、これだ。飼い主はその女の人をミツと呼んでいた。

あの飼い主、私の世話や遊びには全力で尽くすのに、自分の事には無頓着なのだ。いや、無頓着過ぎる。

この間も食事していなかった。一応飼われている身としては、心配だ。野良で生きていけるかと言われたら…考えたくもない。


そしてさっきの女の人、ミツは毎日と言って良いほど飼い主のご飯を作って、少ししたら帰っていく

どうやら飼い主とあの人は幼馴染らしい。


「要君、最近猫ちゃんの事構いすぎ。自分のご飯も食べないと駄目だよ?」


その女の人は私を睨みつけながら、要の心配をする

こうやって飼い主にばれないように毎回私を睨んできたりするのも、もう慣れたもんだ。

毎度の事に私は呆れ、キャットタワーの一番上に伏せた


ミツはせっせと飼い主の食事を作っている。こんなのどこがいいのやら…

どうやらミツは飼い主の事が恋愛感情として好きらしい。

先程の私への睨みは恐らく嫉妬だろう。私は今やただの猫、猫に嫉妬なんて馬鹿馬鹿しい。

飼い主の方はなんとも思ってない…いや、ミツの好意に気づいているのかさえ怪しい。

まぁ、私に面倒事さえ降り掛からないのならそれに越したことはないし、何より面倒事は御免だ


だから私はミツが来た時は毎回キャットタワーの一番上でお昼寝タイム

この時間だけは猫でよかったと思う。


働かなくていいし、寝る時間も、起きる時間も、ご飯の時間だって自由気儘!

猫って素晴らしい~

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