第5話




第5話 木野(きの)みどり


ショートカットの私、木野みどりはエレキギター担当だ。だからエレキベース担当の水野ちゃんの適当さにムカつくも、キーボード担当の土野ちゃんほど熱狂しなかった。のだが、翌日ドラム担当の火野ちゃんに借りた『金野みかんちゃんの歌声録音物』に「うわっ」と驚いた。『上手かった』これとはりあう『上手いシンガー』同士のコラボレーションと考えると、ゾクゾクしてきた。昨夜の私を阿呆だと切り捨てて、ウチのボーカルになってくださいって熱心に想ってしまった。土野ちゃんが火野ちゃんの袖を持ってぴょんぴょん跳ねてる。うん。わかるよ、その気持ち。ちょー嬉しいいんだろ。私も月野ももえちゃんに、速く歌声を聞かせてもらいたかった。

水野ちゃんは真面目に補習を受けているから、私らが感動でニヘニヘしてるのを見て『クエスチョンマーク』をとばしている。「遅いよ水野ちゃん」と私の声が大きくなってしまった(汗)

のんびり呑気にやって来た彼女はあくびをしていたが、火野ちゃんの手から聞こえる金野みかんちゃんの歌声に、本気の顔になった。良いね、久しぶりに水野ちゃんの真顔を見た。嬉しすぎる。

演奏する私らも負けずにおいてけぼりくらわない様に頑張ろうと4人とも想った筈だ。そんなゾクゾクする空気の中に1番遅れた月野ももえちゃんが登場した。




水野(みずの)あおいへつづく

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