第27話




 ゴブリンを片付けてからは特にこれといったこともなく3時間ほど経った。


「「「「「終わった〜!」」」」」


 ずっと見てたから分かっていたが、最後のフォレストウルフを解体し終えたようだ。

 もっと時間がかかるかとも思っていたが、流石に5人いるとなかなか早い。


「お疲れ様、ちょっと休んだら帰ろっか。確か日暮れと一緒に門が閉まっちゃうんだよね?」


「そうですね。正午の鐘から3回目の鐘がなった時に閉まっちゃいますね。」


「外にいると鐘の音なんか聞こえないから、間に合わなくて野宿なんてのはよく聞く話だな」


「そんな心配するほどの時間でもないと思いますけどね」


 エコーとルド、それにライルが続けざまに答えてくれる。

 それもそのはず。朝早く(6時頃)オルグを後にしてクエスト対象を狩ったり、移動したりはしたが、まだ6時間程度しか経っていない。

 ここからオルグまで歩いても2時間程度と考えれば、十分日が高いうちにオルグにつくことは可能だ。


「それもそうだね。…改めて見ると結構な量だね」

「これ全部エクレールさん一人で倒したんだよね…」

 ユラが少し呆れるような目でこっちを見ている気がする。

 フォレストウルフが23体。その上位種フォレストファングが1体。あとはキャタピラー3体にコボルト5体が解体されているわけだ。そしてその横に内臓等々、素材としても食材としても使えないような物がまとめられている。


「数だけで全然歯ごたえなかったけどね。そっちのは燃やしちゃえばいいかな?」


「その数が厄介なんだけど…」

「あ、それは燃やしちゃってください。私風の魔法しか使えなくて…」


「風なんだ。汎用性があっていい属性だよね。」


 ユラとエコーがそんなことを言いっているが、エクレールは気にせず指を鳴らし、いらない部位を燃やす。

 そんな様子を見ていたカートがこんなことを言う。


「思ったんだが無詠唱魔法ってこんな簡単にできるもんなのか?」


「できるわけないでしょ!?簡単な魔法を1節で詠唱できる人も少ないのに、無詠唱なんてそれこそマーリン様やメーガス様でもなければ無理だよ!」


「お、おう。そうなのか。」


 エコーが食い気味に答えカートは少し押され気味だ。

 それにしても聞いたことない名前が出てきたな。


「メーガス様?」


「ご存知ないですか?メーガス・アストハイム様。この国の魔道士団の団長で、それと同時に宮廷魔道士でもあります。」


 続けてエコーが答えてくれる。にしてもアストハイム。確かマーリンもアストハイムじゃなかったか?魔道士として有名な一族なのだろうか。


「それとメーガス様はマーリン様のお孫さんでもあります。アストハイム家は代々宮廷魔道士を輩出する名門なんですよね」


 エコーが補足としてそんなことを言う。予想がそのまま当たった形だ。


「なるほどね。っとそろそろ帰ろうか?話は歩きながらでもできるしね」


 エクレールがそう言って手をたたくと解体し終えた素材がエクレールの空間へと消える。

 それを見た蒼空の鷹の面々は急いで身支度を整えるのであった。

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