第22話
ギルドを後にしたエクレールは正門へと向かう。
その途中いくつか目を引く店があったが、クエストをこなしてからゆっくり回ればいい。
そんなことを考えながら歩いていると正門が見えてくる。
来たときは馬車の中にいたのでほとんど見ていなかったが、なかなか人が多い。
幸い街から出る人の列はどんどんとさばかれているのであまり待たなくてもよさそうだ。
こうして端から眺めていても仕方がないので列へと並ぶ。
それから5分と経たずにエクレールの番になる。割と若めのいかにも青年といった人が担当のようだ。
「身分を証明できるものはありますか?」
「ギルドカードでいいんだよね?」
と言ってギルドカードを見せる。
「はい。確認しました!ところで、確かエシリア様と一緒にいた方ですよね?」
「そうだね。どうかした?」
「いえ、冒険者の方だったんだと思いまして。今からクエストですかね。ご健闘を」
「そっちこそ仕事頑張りなよ」
そんなやり取りをしつつ、無事街の外に出ることができた。
確か西の森と言っていた。とりあえず西に伸びる街道沿いに走っていこう。
そう決めたエクレールは正門から少し離れた辺りから一気に加速する。
その速度は馬で走るよりも速いだろう。
快速に飛ばしていると、10分もかからずしてお目当ての森が見えてくる。
通常であれば3時間はかかったであろう道程をものの10分で走りきってしまった。
流石に森の入口付近には人がいたので少し手前で速度を落としたが。
森の入口に居た人たちは5人の集まりが1つ。俗に言うパーティーだろう。
1人で来たエクレールに声をかけようとするが、エクレールは声をかけられる前に森の中へと入っていった。
森に入ってしばし歩いてもモンスターの気配がしないので、探知の魔法をつかって調べることにする。
ーーーーー
結果から言えば大成功。
サーチを広げた範囲内に討伐対象だと思われるモンスターを発見した。それも各モンスターの討伐数ピッタリにだ。
「よっし、一狩り行こうか!」
某忍者漫画のシノビたち宜しく、木々の上をトントンと飛んでゆく。
一番近かったのはキャタピラー。
木の上を翔けていたエクレールは、地面を這っているキャタピラーに向かい木を蹴り、急落下する。その過程で空間収納からアルテマを取り出し一閃。
そして着地するも勢い止まらず前に飛び出し、2匹まとめてもう一閃。
たった2回刀を振っただけでキャタピラー3体の討伐が完了した。
「確か討伐証明で指定された部位を持ってく必要があるんだっけ」
受付で色々聞いた中にそんな話があった。
キャタピラーの討伐証明は右の触覚。
3体のキャタピラーから証明部位を剥ぎ取り、残りは空間収納へしまっておく。
そして一瞬で終わったキャタピラー討伐この次はコボルトだ。
これまた一瞬で片が付いた。
「ライトニングボルト」
5体がそれぞれ少し離れた場所にいたためそれぞれに雷の矢を一本飛ばした。
詠唱もなしに放たれる雷の矢をコボルトが避けられるはずもなく、そのすべてが頭を貫く形となった。
コボルトの討伐証明部位を剥ぎ取り、念の為もう一度サーチをしてフォレストウルフの位置を探ってみるとなにやら人間と接敵しているようだった。
探し直しかと気を落とすがよくサーチしてみると、人間側が不利になっているようだ。
「これは颯爽と助けてお礼で討伐証明もらえばウィンウィンだね。向こうは助けてもらって、私は討伐証明できて、うん。完璧。」
そんな打算的な考えを纏めたところで、エクレールはその人達の助太刀に急ぐのであった。
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