第12話
今後の予定について考えていたエクレール。
それが終われば特にやることもないので、刀の手入れでもして時間を潰すことにした。
夜空のように黒い刀身は手入れを怠るとすぐに見栄えが悪くなるので使った後は手入れをするようにしている。
しばらく手入れをしているとふとドアの前に人の気配を感じた。なかなか動かないのでこちらから声をかけてみる
「誰か知らないけど扉の前でどうしたの?」
するとドアの向こうでビクリとし、一瞬経って声が帰ってきた。
「エクレールさん、今よろしいですか?」
この声はシエラだ。特に断る理由もないので入るように言う。
「夜分遅くに失礼します。…わぁ綺麗な剣ですね。なんて名前なんですか?」
「龍刀アルテマ。師匠から受け継いだ私の愛刀。それはそうと、どうしたの?こんな時間に」
「実はお願いがありまして…」
「お願い?」
「はい。お母様からエクレールさんは物凄い魔法の使い手だと聞きました。なので是非ご指導いただけたらと思いまして…」
「私に師事したいってこと?」
「はい」
貴族の娘を勝手に弟子にして後でなんか言われるたり、面倒なことになったりしないだろうか。確認取っといたほうがいいか。
「私は良いけど。エシリアとハザードはなんて?」
「お母様はエクレールさんが良ければと。お父様にはまだなにも言ってないです」
「じゃあハザードに聞きに行こうか。まだ寝てないだろうし。」
エクレールは刀を仕舞い立ち上がり、シエラにいこうと言う。
「え、今からですか!?」
「善は急げって言うからね!」
気乗りしないシエラに先導させてハザードの部屋までやってきたエクレール。
コンコンッ
「ハザード、今時間ある?」
「エクレールか、入ってくれ」
シエラとアイコンタクトを交わして、部屋に入る。
「どうしたこんな時間に?シエラも一緒なのか。」
「はい…お父様少しお話がありまして」
「何だ?改まって」
「エクレールさんに師事しようと思うのですがその…いいでしょうか?」
「エクレールに師事?エクレールは良いのか?」
「私はいいよ。まあずっとこの街にいるわけでもないから期間限定ってことにはなるけどね」
「うむ、ならちょうどシエラ達は夏期休暇だから、その間の家庭教師という形はどうだ?それなら問題ないだろう」
「なるほどね、私はいいよ。シエラはそれでいい?」
「はい!よろしくおねがいします!」
「詳しい話は明日しよう。今日はとりあえず休んでくれ」
そうしてシエラとエクレールはそれぞれの部屋にもどっていった。
部屋に戻ってきたエクレールは明日の為にすぐに眠りにつくのだった。
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