第5話

エシリア達に連れられて念願の街に向けて出発したエクレール。

その道中エクレールは外の景色を面白そうに見ていた。同乗しているエシリアとフラムは邪魔するのも悪いと、見守っているようだ。

暫くしてエクレールが口を開く。

「そういえばこれから行く街ってなんてところなんだ?」

「あら?ご存知かと思っていました。」

エシリアは意外そうな顔をするがすぐにこう続ける。

「今向かっているのは辺境のオルグという街です、辺境なだけあって魔物が多く腕利きの冒険者が集まることで有名なんですよ。てっきりそれが目的なんだと思っていました」

冒険者の街か。少しは楽しめそうかな。

「冒険者って誰でもなれるものなの?」

「あの強さで冒険者じゃないんですか!?ま、まぁ貴方ほどの実力であれば簡単になれますよ」

冒険者になって世界を冒険するのも有りだ。下界のどこかにある神界への門を探すっていう目的がある以上、世界を回るというのは悪い話ではない。

「冒険者になるのも悪くないかなぁ」

「エクレール殿なら高ランク冒険者になるのも時間の問題だな」

「そういうことでしたら私の方から推薦の手紙を書きますね、その方がお手間を省けるかと」

「そろそろ着きますぞ!」

そんな話をしていたらそろそろオルグに到着するようだ。

「助けていただいた御礼と推薦の手紙のこともありますし、ぜひ私の屋敷に招待させてください」

「そうさせてもらうよ」

オルグに着いたとて予定がある訳でもないので、有り難く承諾する。

正門で レイムズが何やら手続きを終え、いよいよオルグの街へ入っていく。

正門からは大通りが続いており辺境とは思えぬほどに活気に溢れていた。

「辺境っていうからもっと寂れた感じだと思ってた」

「魔物を狩るために冒険者が集まれば、冒険者をターゲットにした商人が集まり、商人が集まれば人が集まりますから。お陰様でオルグの運営も忙しいんですよ?」

賑わっているのは何よりだ。寂れた街にいても面白みがないし、何より情報が集まらない。各地を回っている商人や冒険者が集まるのなら、神界の門についても知っている人がいるかもしれない。

というかなにやら大事なことが聞こえた気がした

「 ん?オルグの運営?」

「そういえば言ってませんでしたね。私はこの街の領主ハザード・メルセンの妻なんですよ」

思っていたよりも大物だったようだ。

そんな重大発表をされながらも、外の商店や屋台を物珍しげに、眺めていると大きな柵に覆われた屋敷が見えてきた。

「屋敷についたようですね、改めて歓迎しますわ、エクレール様」

門が開く音が鳴り響く中、エクレールは領主の屋敷へと入っていくのだった

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