2016-2017/詩

○22 

さむい夏の夜だった

みんみん蝉はもう

しんでしまった

いなくなった


さよならは未だいわない

みえなくなる迄いるから

しあわせはとっといてよ

いつまでも、いつまでも


さむい夏の終わりだ

みかづきを送った

しらむ空を仰ぐ

いつか、また


#詩

2017年9月2日·午前0:11



○21 

寂しくない


泡沫に流れ落ちたる錦鯉

「僕じゃないって知っているのは」


竜になれなかったのは、


何も言えなかったのは、


間違えてしまったのは、


「全部僕でした」


なごり雪白紙に溺れ燃え残り

次会うときはクレバスの底


何度目だって聞かないでくれ


答は知らないんだ。

2017年7月30日·午後9:40



○15 

ラスワンラスワン最後のスワン

赤いスワンとコマドリが

血みどろお化けを飲み込んだ


しろくろくるし 最初のカラス

白いカラスとと黒スワン

詐欺師しろくろシギ、クイナ


ラスワンラスワン 最後のスワン

沼地に咲いたは白い花

立つ鳥のあと白い影


ラスワンラスワン最後のスワン

2017年4月3日·午前3:20


○4 

ラスワン ラスワン

最後のスワン

水銀の池に雨が降る


ラスワン ラスワン

本日限り

紅茶の海に飴が降る


ワルツを踊る

最後のスワン

劇場跡に雨が降る

#詩

2017年2月8日·午後11:53



○17 

まだ何も言わないよ

魚はそらをとんだよ

バイバイはどこかに


ねぇ、どこにいるの

ねぇ、僕はここだよ


片手振ってさよなら

君はうみをおちたよ

もう何も言えないよ


声はとうに死んだの

声はとうに。


#詩 【都市国家SiO2】

2017年5月14日·午後10:37



○32 

薄氷を待つのは

僕が寒いからだ

薄らぐ春の瀬を

遡行したいのも


寒々と紙面の鳥

ふわり剥がれて

様々に擦れては

悲鳴を真似るの


薄氷の君でした

僕は僕でしたね

漂泊の月日さえ

溶けてゆくなら


#詩

2017年11月16日·午後11:59



○25 

音を落とせや一等星!

弾丸よりもなお速く!


フォーマルハウトはもういない

あの子の船はとうに出たんだ

朝凪よりもなお早く


銀の猟犬が噛み殺した

凍てついた水鳥の羽根をしるしに

こおりの海へ発ったんだ


風よ運べあの子の船を

流星よりもなお早く!


#詩

2017年9月17日·午前2:00


○26 

辿る軌跡は海水を

満たして絶えた民の声


辿る空色昏れゆきて

欠いては満ちる星の音


月の運航追いかけて

駆った帆船は瀬を越えて


変わらぬものを追い求め

地の果て越えて白の海


辿る空色昏れゆきて

欠けども果てぬ思い出は


#定型詩 #歌詞

2017年9月17日·午前2:07【Polaris 或は不凍港より】



○31 

夜汽車の往く、往く

野山の往々の景色を

繰り返し、繰り返す


夜汽車よ未だ帰るな

海風の去りぬ季節を

繰り返し、繰り返す


夜汽車が往く、往く

人々の往来を眺むる

あの日々を、願うの


夜汽車よ夢と謳うな

人々が往来する街よ

繰り返し、繰り返し


#詩

2017年11月6日·午前2:37



◎3 

「夜光羊のエレジー」

https://twitter.com/wakenakiyue/status/805682313841426432?s=20

紫電のまどろみや 最後の楽園に 僕は――


2016/12/5


うた

https://twitter.com/uminekosakana/status/968104612325502976?s=20


◆1 

物語にまで空虚を求めてしまうのは、僕が満たされ過ぎていると知ってしまったからなのか、一体僕はがらんどうだったのか。


海月


H2Oで構わないから異星人と交わりたくて、隣の銀河を訪ねたのは空気の欠片だったのか僕の切れ端だったのか。


#散文

2017年9月13日·午後11:34

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さかなの手帳 桐谷佑弥 @suzutorisakana

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