第3話

ぎゃあぎゃあと騒いだ後はのんびりと大広間へと移動してきた。ここはふれあいコーナーらしいがイルカショーだとかアシカショーだとかで全然人がいない。ラッキーだ。

あの注目を浴びた後クラゲだとか見に行ったのだが、相変わらずぎゅうと人目も気にせず抱きしめてきたので顔から熱を出しそうになりながらひっぺはがしたのは数分前の記憶だ。


「もお~やっぱりお熱です?ずっとお顔真っ赤っすよ」

「熱じゃねえよ、お前が…その……だ、抱きしめてくるから…」

「可愛いっすね~!ってそうだ、ご飯の時間っすね。えへへ、いちゃいちゃできる時間だ~」

「どんな解釈なんだよ……」

「端っこの席取れればいちゃいちゃ出来るの、僕知ってるんすよ」


端っこ取れればまあ隣に座ったりあーんしたりされたりをするので、それをいちゃいちゃと呼んでいるのだろう。


「ふふん、端っこの席と、メニューちゃんと予約したんですよ。可愛いペンギンさんパフェを食べる予定だから、楽しみにしててくださいね!」

「ペンギンパフェってどんなんだ」

「あんことごまのパフェらしいっす!和菓子って感じなんすかね」

「…あ?レストランって予約できんのか?水族館とかって行き当たりばったりじゃ…一回出るのか?」

「最近できたばかりですからね~知らないのも無理ないっす!水族館の中に、水中にいるみたいなレストランできたらしくて、人気の中ぎりぎり取れたんすよ~」


そう言ってルンルンとする。へえ、ノーチェックだった。こいつはほんとにそういうTheデートって場所が好きだな……


「メニュー見ながら向かいましょ~向かうまで距離ありますし」

「距離あんのか」

「はい!深海魚コーナーから行くらしくてここからじゃちょっと遠いんすよねえ…クラゲコーナーから行くみたいじゃないし」

「……クラゲと深海近くじゃないのか」

「なんか……地図わかんなくて」

「ほら、見せてみろよ」


そう言って地図をこちらにぐいと寄せる。天使が話してくれなかったので自然に近づくことになってしまうが、離さない。なんで離さないんだこいつ。


「……これこう、クラゲコーナー下に下がれば深海コーナー行けるんじゃないか?」

「クラゲコーナー降りれるところありましたっけ?」

「あったんじゃないか?お前が抱きしめてきたせいで気づかなかっただけで」

「う、それは僕を責めてるっすか……?それは可愛い海真珠さんにも罪があるっす!ギルティ!」

「お前、それ警察官に言う言葉か?警察は法律にまあまあ詳しいぞ」

「可愛い罪とかありますよね、知ってるっす」


ねえよ!と頭をばしりと叩く。


「まったく、警察官を馬鹿にしちゃいかんからな」

「馬鹿にしてないっすから!僕これでも投資家っていうお仕事してるんすよ?ちゃーんと法律とか調べてしっかりとした会社の株買ったりしてるんすからね」

「あーハイハイ、無職無職」

「ひどいぃ………確かに書類面は無職だけど……」


ぴいぴいと泣きわめく天使は見慣れたものだがいかんせんうるさい。うるさすぎないか?いくら株だどうのを俺より知っているとしても精神年齢がおさな過ぎる。まあこいつは19だし……いや19歳もっとしっかりしてないとだめじゃないか?よくよく考えたら抜けてるところが多すぎる気がする。いや、金をちゃんと持っている、という点では申し分ないのはわかるがこのまま金を持って頭が良くても常識がない大人に成長したら………ちゃんと大人として導いてやらないとな。


「無職でもいいも~ん、お金稼げてるし、海真珠さん一緒にいてくれるなら…」

「ヒモは養わないからな」

「実際はヒモとか無職じゃないんすからね!?お仕事はしてるんすから!」


ぷんぷんと効果音が聞こえそうなほど頬を膨らませた天使を適当にあしらって深海コーナーへと向かうことにする。レストランに行くぞ、といってから一ミリも動いてないので道にでも迷って間に合わなかったら嫌だ。……道に自信はないしな。

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