食堂

バブみ道日丿宮組

お題:打算的な食堂 制限時間:15分

食堂

「なぁ……毎日カレーばかりで飽きないのか?」

「んー、安いし味も違うぞ?」

 そういう友人のカレーは確かに普通のカレーではない。


 ーーグリーンカレー。 


 大学の食堂に存在してるか怪しいもの……いや食べ物自体は怪しくはないんだがな……。

「200円で腹いっぱいになれるなら他のメニューはいいかな。ほら100円で大盛りもできるし、良心的だろ?」

「まぁ……400円のラーメンを頼むよりかは多少なりとも金の融通はきくな」

「浮いた金を趣味に使えるんだぞ」

 そういう考え方もあるのか。

 ただ……毎日同じものを食べるのはちょっとな。

「一度に大量に作るから食堂のコスト的にも経済的」

 安さの要因の一つはそこだろうな。じっくりことことと作り上げるカレーは絶品だ。

 だが、毎日はやっぱりな。

「なんだよ、さっきから変な顔しやがって。やらんぞ」

 食器を遠ざける友人。

 そういう意味で表情が変わってたわけじゃないんだがな。

「家でカレーが出てきたらどうするんだ?」

 場の空気を戻すためにかねてより気になってたことを質問としてチョイスする。

「それはそれで味が違うから気にならんな」

 なるほどな。

 毎食ラーメンを食って死んだって人もいるし、好きなものを食べるってのは案外悪くないのかもしれない。

「明日からカレーにしてみるかな」

「いいぞ。明日はチキンカツカレーだ」

「えっ? それで200円?」

 あぁと友人は頷いた。

 チキンカレー分はいつもと大してコストは変わらんだろうが……カツが増えるとなると……?

「そんな気にしなくても大丈夫だぞ。毎回カツがついてくるわけでもないし、学生に飽きさせない気配り。言うならば打算的な配慮かな」

「配慮ね……」

 何百人といる学生がカレーを選ぶわけではないし……それを狙って学生が選ぶのであれば予算も無駄ではないってことか?

「なんにしても味は毎日違うからカレーが嫌いでないなら楽しめる昼時の日々だ」

 ドヤ顔でいってくる友人の顔はとてもムカつくものであったが頭の片隅に追いやった。

 いくら頭で食堂のことを考えたとしてもわからないことはわからない。

「課題やってきたか?」

「あぁ」

 なら、学生の本分である勉学に勤しむとしよう。

 そうすればカツとなった動物もまた活となるだろうしな。

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食堂 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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