センチ
バブみ道日丿宮組
お題:あいつと過ち 制限時間:15分
センチ
産まれてしまったからには誰かが責任を取らなきゃいけない。それが親友であろうと、両親であろうと、子供であろうと見て見ぬふりはできない。
それが大人に育ったオレたちの責任だ。
「あいつのニュースやってるね」
「……あぁ」
テレビのニュースキャスターが今日の出来事について話してる。当然そこにはあいつの話もあった。今日で10の都市を壊滅させてとのことだ。あいつにしては遅い進行だ。
「……今日の収穫は?」
「上々」
時間がかかるならこちらの用意も間に合わせることができる。
ライフルに、手榴弾……など。
手に入れられるものはなんとか集まった。
が、それがあいつに効くかは話が別だ。
「今度の衝突で何回目だっけ?」
「10回目だな」
10回……もしかするとあいつはオレたちの殺し合いを数として都市を破壊してるのか?
まさか……な?
「どうしたの?」
「なんでもない」
彼女が銃を解体し、整備を始めた。
「手慣れたものだな」
「あまりいい気分にはならないけどね」
わからないわけじゃない。
ただの人間だったオレたちがあいつを殺すために実施してきたことは褒められることじゃない。
「必要なことを必要なだけする。そうしなきゃわたしはわたしのしたことを許せない」
うつむきはじめた彼女を見て、オレは過去を思い出す。
楽しく走りまわった子供時代の景色。もう二度と起こらない色はせた風景。取り戻すには遠すぎる過去で、未来は暗闇。だから終わりにしなきゃいけない。
「わたしがもう少し頭がよかったら多少はマシになったのかな」
「さぁどうだろうか。人の欲望は欲望だからこそ抗うには難しい」
「でも、君はできてるじゃない」
どうだろうかと自問する。
「そう考えられるだけマシだよ。あいつはもう戻れない」
「そうだな」
そしてオレも武器の整備をはじめた。
今度こそ……今度こそ終わりになればいいと願いながら。
センチ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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