第6話 スライム?
6. スライム?
「いやぁ凄い。まさか、こんなに簡単に鉱石を見つけられるなんて思っていなかった。それに、この辺りの石は、他にも壁の中に、同じような石があるのか、キラキラしている石が至る所にある」
他にも、似たような特別な石がないかと周りに目もやっていると、突然目の前で何かが動いた。
「ん? 今なんか動いた?」
シンは、そのまま慌ててブラックライトの明かりでヘルメットに付けたライトのスイッチをやっとのことで入れることができた。ライトの明かりを確認すると登山用ヘルメットを落ち着いて頭に被りなおした。
そして、さきほど動いたように見えたあたりに顔を向けた。
すると、目の前にライトの明かりに照らされて、これまで見たこともないものがうごめいている。その変な動く物体をよく見ると、1メートルほどのゼリー質の物体で、それが、ゆっくりこっちに進んでくるではないか。
「うわぁぁぁぁぁ 何だあれは! ス、スライム???」
思わず、今まで見たこともない不気味な存在に驚いて大声をあげてしまった。
叫びながら、シンは少しでもその怪しい物体から距離を取ろうと後ろに後ずさった。
どう見ても、その動く物体はゲームやアニメに出てくるスライムにしか見えない。
「どう見てもスライムだなぁ・・・それにしても何でこんなところに? どういうことだろう?」
今、自分がかなりパニックになっているのが分かる。スライムなどいるはずはないのだ。それに、この生き物が危ないものなのかどうかも良く分からない。心臓がバクバクと音を立て始める。
「落ち着け、俺。落ち着け・・・仮にあれがスライムだとして・・・どうする、どうしたらいい・・・」
そう言っている間にも、そのゼリー質のスライムらしきものが近づいて来る。
「そうだ武器だ、武器だよ!あっいや、でも武器なんて持ってないよ・・・・どうする、どうしたらいい・・・」
すると、いま綺麗な石を削り取ったピッケルが自分の手に握られていることを思い出した。
「武器としてピッケルでも役にたつかわからないけど・・・今はほかに何もないし・・・スライムが危険なのかどうかも分からない。近づいて倒せる保証はないし・・・」
だが、それ以上考えていても仕方がない。どんどんスライムはこちらに近づいて来るのだ。
シンは意を決してそのピッケルをそのまま思いっきりスライム目がけて勢いよく投げつけた。
ピッケルは見事にスライムに命中した。スライムは跡形もなく弾け飛び、そのまま綺麗な宝石のようなものが「コトッ」と残された。
「なにこれ?」
シンは近づいて、スライムだったはずのその石を手にとって眺めると、青みがかったガラスのような色で丸い形をしている。
「何かよく分からんが、とりあえず、やっけたらしい。この不思議な石も持って行くか」
シンはその石を拾うとポケットに突っ込んだ、
「でも、何でスライムが出て来た?どうなってるんだろうここは・・・。とにかく、急いでここを出たほうがよさそうだ。さっきの金髪の彼の話では、このまま進めばどこかに出口があるって言っていたし・・・とにかく進んでみよう」
シンは、さっき沢山の不思議な石を集めた空洞のところから右側に見えていた通路を進んで行くことにした。
それにしても、ヘルメットにライト、両手にはトレッキングポール、そして、すぐ取り出せるようにピッケルという装備しかない。他にとりあえず役に立ちそうなものは何もない。シンは覚悟を決めてそのまま進むことにした。ちょっと持ちにくいが、右手にはポールとピッケルの両方を持ったままだ。
しばらくライトの明かりで進みながら周りの様子を見て、あることに気が付いた。
「そういえば、さっきまで見えていた鍾乳石がもうどこにも見えないなぁ。まるで別の洞窟にでも入って来たような気がする・・・」
しばらく進むと、また先ほどと同じ青いスライムがどこからともなく出て来た。
「うわぁ・・・またスライム。どういうこと? 完全にゲームの世界みたいだけど・・・」
今度はさっきより少し落ち着いている。それで、外さない距離までまず近づくことにした。そして、まずトレッキングポールで思い切り突き刺してみることにした。
「えい!」
勢いよくスライムめがけてポールを突き出したので、ポールがそのままスライムに突き刺さる感覚がしたあとで、スライムは弾け飛ぶよう消失した。
「やった!これでいけるんなら少し安心だ!」
シンはまた落ちた青く丸い石を拾い上げた。
「これ、いわゆる魔石ってやつかなぁ。何かちょっと冒険してるみたいで楽しくなってきたかも」
その後も、何匹かスライムが登場したが、問題なく倒すことができた。シンは洞窟の中を、スライムを倒しながら進み続けた。
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