10
「佐藤って元の口調もそうなの?」
いつからギャルをやっているのか、私は知らない。
少なくとも大学一年の時には既にギャルだった。
今より少しだけおとなしめだった気もしないでもないけれど。
「口調?」
「……言いたくなければ、言わなくていいんだけど」
「聞きたい?」
聞きたい……?
……再現してくれるということだろうか。
「気になっただけ、だけど」
「この姿で……和香が抵抗なければ、いーよ?」
「いーの?」
スマホをスクロールさせていじっていた佐藤が、その画面を私に向けて来る。
画面の中には、三人の学ランを着ている男子が机や床に座って煙草を……いや、待て、煙草?
その中の一人、舌を出してこちらにべーっとしている男子。
すぐにわかった。
その手元にも、煙草。
「和香」
その昔の佐藤の顔を認識した直後、これまでよりもずっと低いその声が、耳元で響く。
急なことで、グッと胸元が締め付けられるような痛みが、じわじわと頭や体を支配した。
「俺、どれだかわかる?」
低く響く声が、耳元で鼓膜を震わせた。
スマホの画面から、顔を上げられない。
顔が熱い、なんだ、なんでだ、相手は佐藤なのに。
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