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すぐそこにあるクッションに手を伸ばして引き寄せると、頭の下に置いて顔を埋めた。


そういえばこのクッション……佐藤が誕生日プレゼントでくれたんだったな…………。


それを思い出し、思い出してしまったことを後悔する。


なんで私が、佐藤のことでこんなにも悩まなきゃいけないんだ。




「あぁ、もう」




眠ってしまいそうな頭を起こして、スマホで時間を確認する。


まだ18時を少し過ぎたところだった。




このまま少し寝てしまおうか、いや明日まで寝てしまいそうだ、せめてベッドに乗りたい。


そのまま数分床で休んでいると、ピンポーン、なんて聴き慣れない音がこの部屋いっぱいに響き渡った。




正直、一人暮らしの女の部屋で身に覚えのないチャイムになんて出たくない。


まぁ、部屋に明かりを点けてしまっているので、部屋に居るのはどうしてもバレるだろうけど。




出たくない、めんどい……わけではない、身の危険を回避するためだ、決して面倒くさいわけじゃない。


そう言い訳じみたことを頭の中で思っていると、今度はスマホが鳴り出した。


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