第85話 露天風呂

碁点温泉で管理職の懇親会が開催された。

18時過ぎ宿泊場所に到着し、さっそく浴衣に着替え大浴場に向かった。

一度に100人もの人が入れるような大きな浴場で、サウナや打ち湯・泡湯などの浴槽があり、日頃の疲れがとれ壮快な気分になっていると、ニヤニヤしながら同僚が近づいて耳元でささやいた。

「部長 外さある露天風呂 混浴みだいだば エヘヘヘ....」

「ほんてー? んだて おなごなの入ってねんだべ」

「ほだごどないじぇ いま見できたげど 入ったっけよ 行ってみっべ」

「ほんてだがや? んだら行ってみっべ」

我々はタオルを腰に巻いて外に出た。

3月に入ったと言っても、さすがに北国の夜はまだ寒い。股間が収縮してきた。


「うー...さぶいー...」

「おー あそごだ はやぐはいっべ」

急いで冷えた体を湯船に沈めた。

ばかに広い露天風呂である。見渡すと数人が入っている。

湯気に隠れるように二人の女性が首まで浸かっているのが見えた。

「ほれ おなごも はいったどれ ちかづいでみっか...」

同僚は嬉しそうに呟いた。


しかし、この風呂やけにぬるい感じがする。露天だから冷めたのだろうか...?

「おい ちょっとなんだが変だと おもわねが?」

「んだな あの じいちゃん おらだばみで 笑てるみだいだな...」

露天風呂にしては周りにベンチなどが置いてある。

これはまずい! ハッと気付いた時であった。

「おーぃ そごの おぎゃくさーん! 温水プールなんだがら 裸で入って ダメだべず!!」

管理人が走ってきた。

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