第86話 花粉症

花粉症の季節になった。

事務所でも、花粉症に悩む人達がティッシュを抱えクシャミをしながらウロウロしている。

なにしろ、会社は田んぼと杉林に囲まれているため、杉花粉の影響をまともに受けるのである。

「目ど鼻が かゆくて しょないんだず」と言いながら、鼻水をズルズルしている。


その様子を見て、子供の頃のガキ大将が鼻水垂らしている姿を思い出してしまった。

そう言えば、最近の子供は鼻水など垂らしていないが、私がガキの頃は大半の男子は鼻水を垂らしていたものだ。

鼻の穴から二本の鼻水が出たり入ったりしているうちに、少しずつ乾いてくるため粘りが出てくる。

その状態を続けていると、鼻汁の通り道に土手が出来てくる。

鼻汁が土手状になって固まったのである。

そうなると、鼻の下がむず痒くなってくるため袖で何度も拭くことになる。

だから、鼻水ガキの袖口はいつもテロテロと光り輝いていたのである。

ろくにおやつなど無かった頃なので、少ししょっぱい袖口を舐めては走り回ったものである。

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