第69話 電話
帰国後の生活にもようやく順応できるようになってきた。
気合いを入れ直し、遅延気味の仕事を片づけねばと自分に言い聞かせデスクに座った途端、電話が鳴った。
「おー あれ なになったんだっけや?」
前置きもなく耳に飛び込んできた言葉に反応できない。
「あれって なんだっけや?」まず、誰なのか言葉の特徴から推定する。
(常務だ...)
「あれだよあれ 月末に頼んだっけべ わすっだの んねべね」
何の事やら全く思い出せない。
「あのー あれじゃ わがらねんだけど 私 んねの んねが?」
「あーそーか? ごめんごめん あははは」ガチャン!
なにが「あははは」だよ! 朝から名前も言わずに電話かけてきて、何考えているんだ!! こういう人にかぎって「電話の応対が悪い」だの、「日本語が乱れてる」などとほざくのである。
そんなこと言う前に「自分の態度を反省をしろ!」と言いたいのであるが、言えないところが中間管理職の辛いところである。
私も「あははは」と笑い飛ばして、仕事に励むことにしよう。
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