第三章 続山形編
第68話 帰国
帰国した翌日から出勤することになった。
社内規定には帰国休暇なるものが記載されているのであるが、管理職に適用した前例がないとの事である。
工場設立のため海外勤務した管理職は私が初めてなのだから、前例など有るはずがない。お役所的な発想しかできない総務部に閉口する。
事務所に顔を出すと部下たちが出迎えてくれた。
「部長! ごぐろうさまっす」
「よく無事で 帰ってこれたなっす」
戦場に行ったわけではないのに大げさな挨拶だなと思いながらデスクに座った。
久しぶりの事務所なので、古巣に戻ったという感覚が湧いてくる。
「部長 一人で帰って 来たんだがっす?」
ニヤニヤしながら西塚君が近づいてきた。
「一緒に行った阿部君達 まだ のごてっべした」
「んねくてよ アオザイ娘ば ちぇできたんだべがと おもてよ キャハハハ」
アオザイ娘を連れてきたりしたら、家庭争議の上に国際問題に発展しかねない。
帰国報告の為、社長室に向かった。
秘書に確認したところ社長は在席しており、報告を楽しみにしているとの事であった。
「失礼するっす 帰国の報告に来たっす」
「おぉ部長! ご苦労様だっけなぁ 元気そうでなによりだ」
工場建設から業務立ち上げまで一連の内容を簡単に説明し、詳細を記載した報告書を手渡した。
「報告は それだけだが?」
「はぁ? 」
ニヤニヤしながら社長は言葉を続けた。
「部長のごどだから アオザイ娘ば ちぇできたがど思ってよ」
「...」
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