第23話 宝くじ

ドリームジャンボ宝くじを買っていたのに、すっかり忘れていた。

当選番号が掲載された新聞を探し回ったが見つからない。

仕事中ではあるが、ネットで確認することにした。

首を伸ばし事務所内を見渡し、普段と変わらない様子を確認した上でカバンから封筒を取り出し机に並べる。


(あだても 誰さもおしぇねで ひとりじめすんだ...)などと考えながら一枚ずつ調べ始めるが、3億円の夢は20秒で消えてしまった。

しかし、まだ2等も3等もある....などと言い聞かせながら確認するがまるで駄目。

ついに5等まできたが、全くかすりもしないのである。

半ばあきらめかけたその時、なんと!下二桁の数字が机に並んだ宝くじの中から読みとれたのである。

「あだた! あだた!」

事務所の中でつい大声を出してしまった。

「なになに? なにあだたのや? あーーっ宝くじだ!」

「えーっ!? 宝くじあだたの?!」

ワイワイ言いながら皆が机の周りに集まってきてしまった。

「部長 何等あだたのや?」

「おーい! 部長 宝くじあだたんだどー」

わざわざ大声で言いふらしている者まで現れた。

「こりゃ おごてもらわんなねなー」

「んだ! んだ!」

「なんぼ あだたど おもてんのや たったの3000円だじぇ」

状況を説明したが収拾がつかない。

結局、大散財をして奢ることになりそうである。


これからは宝くじを買っても絶対秘密にしようと心に誓うのであった。

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