第24話 蕎麦の海

会議に出席するため、台湾人のソーさん、ドイツ人のステファンさん、津軽人の木村さん達が集まってきた。

ソーさんは広東語を話し、ステファンさんはドイツ語と英語、木村さんは津軽弁以外はまるでダメ。

インターナショナルな会議のようだが、お互いが好き勝手にしゃべりまくり、コミュニケーションが取れたのかは甚だ疑問である。


昼食の時間となり、山形特産の蕎麦を食べることになった。

場所は口コミで評判の蕎麦屋「きよ」に行くことになったのだが、ステファンさんはやや不安そうである。


板に乗った手打ち蕎麦が出てきた。

木村さんが真っ先に食べ初め、つづいてソーさんも美味しそうに食べている。

ステファンさんは割らない割り箸を二本持って、木村さんの食べ方を観察中。

「ステファン ほごさある箸ば 二つに割ってがら 使うんだがらな」

「OK Verstanden.」

不器用ながらも箸を使って食べ始めたが、さすがにドイツ人、スパゲティの要領で食べるものだから、蕎麦つゆがはじけ自慢の髭がビショビショである。

髭からつゆがたれている。

「蕎麦はズルズル おどだしてたべっど つゆはねねんだげんとね」

などと言っても、おかまいなし。


「こうして すすて くんだずぅ」

私と木村さんが、無理矢理ステファンに教え込んだ。

「OK OK!」

ステファンは思い切り蕎麦をすすった...顔色が変わった...ブファー!!!


テーブル一面、蕎麦の海と化してしまった....

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