第5話 単純な原因

決済をもらいに所長の部屋に行った。

ドアをノックすると不機嫌そうな返事が返ってくる。

「なにが したんだがっす?」

「んだず このプリンター 印字ならねんだず! きんなから悩んでだんだず」

「おがすいね~ どごがいじたが?」

「なにもすねよ インクばセットしただげだげんと」

「ほだなぐらいで こわんねはずだなぁ....」

最近のプリンターは性能も良くなり、滅多に故障などしないはずである。

パソコンと接続するケーブルやドライバーなどをチェックしたが異常が無い。

ワープロソフトを起動し、適当な文字を入力し印字しようとしたが、紙送りもヘッドも動くのだが印字されない。

「だめだなこだなプリンター KZ電気さ文句やんなね!」

「ちょっとまってけろ 良く調べっから」と言うのも耳に入らない様子である。


念のためインクカートリッジを取り出してみた。

良く見ると、インクの出口にシールが貼ったままである。

「所長! シール貼ったままだどれ これじゃインク出ねべず」

「なんだて? シール? 誰ほだなもの貼ったのや?」

「新品だも 最初から貼ってあるんだべず」

「ほだなごどもわがらねのが....」

単純な原因を指摘された所長は、顔を赤らめてブツブツ呟いていた。

「パソコンなの嫌いだぁ... オレさ合わね...」

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