第13話

 最早恒例となっている、王太子主催のお茶会。今回は、これからの魔物の大量発生への対応と対策についても話し合われる事になっていたのだが。

 「リュシフィアが欠席……?」

 リュシフィアの執事であるレヴィから告げられたのは、欠席の報告だった。

 「それは、何故?」

 「魔術師団の仕事の都合です。魔物の討伐で忙しく、お茶会に参加している余裕はない、とのことです」

 「そう、ですか……」

 困ったな、と呟く。リュシフィアと話をして、今後バッドエンドに向かわないように対策を考えたかったのだが、リュシフィアがいないのではどうしようもない。

 とりあえず、席に付く。本来、お茶会で結界を貼るのはリュシフィアの役目なのだが、今回は不参加であるため、代役をレヴィに頼んでいたようだ。結界が貼られ、ルトレイス、バルトローズ、マリファの三人でお茶会兼対策会議を始めた。のだが。

 「……」

 「……」

 「……」

 溜め息。そして、沈黙。落としている視線の先には、魔術師団からの報告書。今までのリュシフィアが関わっているのではないかという憶測に加え、最近では、まるで彼女が噂を肯定するかのように、魔物へ指示を出す様な仕草を見せたり、あえて一部の魔物を討伐しなかったりと、妙な動きを見せている、との報告も出されていた。 

 「……なんっで、肯定するように動くんですかねぇあの子は!」

 半ば叫ぶようにして真っ先に沈黙を破ったのは、バルトローズだった。

 「もう何考えてんのかわかんない……何がしたいんだい君は……」

 隣でルトレイスが頭を抱えている。マリファも、はは……と苦笑いを浮かべる。

 「……というか、ここまで魔物の数が多くなっているんだ、守護神様は何か言ってないのか?お告げとか……」

 バルトローズの言葉に、首を振る。直接御降臨なされたあの時以来、守護神様からのお告げやお言葉は全くなかった。

 「……その件について、主神フィーニス様より伝言です」

 執事のレヴィが、バルトローズに答える形で発言した。

 「我々は、『ただ見守るのみ』という結論にございます」

 と答えた。

 「見守る、のみ?」

 「ええ。もっと言えば、干渉しない、というのが我々の見解です。このスタンピートは一時的なもの。そのうち収まります。それよりも、現在解かれている封印の方が重要なのです。そして、それに対するリュシフィア様の対応も。我々は、リュシフィア様を見守り続けております」

 「……何故、とお聞きしても?」

 「主神様のご命令です。……主神様は、リュシフィア様を気に入っておられますので。リュシフィア様にも干渉を止められておりますので、我々は手出ししないのです」

 そう、レヴィは語った。

 その言葉に、三人とも何も言えなかった。どう返せばいいのか、わからなかった。

 

 

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