#19 土下座と和解
着替えた後、真田さんの部屋へ案内された。
私は部屋に入ると、部屋で待っていた大森タローの前で土下座して今までのことを謝罪した。
許してもらえるとは思ってなかったけど、本当だったら恨まれていてもおかしくないのに助けてくれた彼へ、誠心誠意謝罪するべきだと思った。
腕も脚もガタガタ振るえて、謝罪の言葉も上手く出てこなかったけど、ひたすた額を床に擦り付けた。
そんな私に大森タローは
「いやいやいやいやいや、謝らなくていいって!そもそも吉川の虚言癖が全ての元凶だし、あの”化け物”相手じゃしゃーないって」
「大丈夫だよ新田さん、タローくん鋼メンタルだから、全然怒ってないし」
「てか、ほんと土下座勘弁してよー、俺このままじゃ新田のびしょ濡れ制服の臭い嗅いで土下座までさせた超ヤベェ奴じゃ~ん」
「あー、それヤバイね、どっかの虚言癖の作り話よりヤバイね」
そう言って大森タローは笑って許してくれて、真田さんは私を無理矢理抱き起してくれた。
私は、折角シャワーを浴びたのにまた涙が止まらなかった。
真田さんが優しく私の背中を擦ってくれて、ようやく私が落ち着くと二人が最初から話してくれた。
カオリから告白して付き合うことになったこと。
次の日の昼休憩での会話。
教室でみんなから吊し上げになった後のこと。
私がLINEでブロックされた後のこと。
そして昨日の夜から今日までのこと。
何から何までカオリの言ってたことは嘘だらけだった。
ある程度は解っていたけど、本当に酷かった。
私が山川くんのこと好きで嫉妬でカオリに嫌がらせしていたという嘘話には、呆れて溜息しか出なかった。
(二人が山川くんのことを最初「ジャスティス山川」と呼んでいたのに最終的に「ジャス山」になっていたのが少し面白かった)
大森タローがカオリの事を”化け物”と呼んだけど、話を聞いたあとだと私にもカオリのことが化け物にしか見えなくなった。
今までの彼女との思い出が全て嘘と悪意で作られた物に思えて、怒りで震えが止まらなかった。
その後私が落ち着いてから、これからのことを3人で相談した。
私への嫌がらせやメール攻撃はしばらく続くと思われること。
今日3人同時に学校から居なくなったことで、二人も標的になる可能性があること。
二人は私にしばらく学校を休むことを勧めていたが、二人が標的になるかもしれないのに私だけ逃げるわけにはいかないと、それは拒否した。
だったら学校では常に3人で行動しようってことになった。
他に
私のスマホはメール通知を切って、メールは開かずに証拠として残しておくこと。
昨夜のLINEの様子は真田さんがスクショで残すこと。
今朝のコンドームも証拠に写真とってから処分したとのこと。
これらを話し合った。
最後に大森タローが言っていた。
「吉川って嘘で周りを煽るの上手いけど、短絡的で場当たり的に嘘ついてるだけで穴だらけだから。ナチュラルに嘘言うからみんな疑わずに騙されちゃってるけど、冷静になって聞くと矛盾だらけなんだよアイツの嘘って」
それを聞いて、凄く納得した。
本当にその通りだと思った。
そしてこんな彼と真田さんが今傍に居てくれて味方なんだと思うと、心の底から安堵した。
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