#06 冤罪裁判で取り消します!




もう、なる様になれーって開き直ってたんだが、その態度が周り連中の神経逆撫でしたみたいで、いきなり最初から「カオリちゃん(吉川さん)に謝れ!」コールの大合唱。


そんな状況でふと『吉川さん、何について謝ってほしいんだ?』と疑問に思って、離れたところに座ってコッチをチラチラ見ている吉川さんの顔をジッと見つめたの。


周り連中は俺が吉川さん睨んで脅してると思ったようだけど、俺は怒ってないし泣かしてないし脅してもいないので、ただ黙って堂々と目逸らさずにジッと見続けた。


そしたら吉川さん目逸らすし、新田が「いい加減にしろ!カオリが怖がってるでしょ!」って怒りだしたんで、俺もようやく口開いた。


『吉川さんは俺に謝ってほしいの?俺、吉川さんに謝らないといけない様なことしたっけ?全く心当たり無いんだけど。俺、何に対して謝らないといけないの?解らないから教えてくれる?あ、新田とか他の連中には聞いてないから。部外者黙ってて。二人の問題なのにお前らに説明する必要も謝る必要も全くないよな?』

と一方的に話した。


ここまで言っても吉川さんダンマリだから

『俺、初めて彼女出来て周りに騒がれるのなれてないから、あまり言いふらさないでねってお願いしただけだよね?俺のお願い、そんなに嫌だった?女泣かせるクズ呼ばわりされるくらい酷いお願いだった?ねぇ黙ってないで教えてよ。今、俺一方的に悪者されてるんだよ。訳が分かんないから説明してよ』

と更に早口で捲し立てた。


そしたらさ、吉川さんシクシク泣き始めるんだよ。

んで周り連中も「カオリ(吉川さん)大丈夫?」とか言って慰めてるの。


あー、もうコイツ、嘘バレそうだから泣いて逃げようとしてるなー、めんどくせーなぁってなって。


『告白してもらってOKしたけど、やっぱ取り消します!付き合うの無理でした!』って大声出して、みんなが怯んだ隙にカバンもって教室から逃亡した。



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