#05 高校生の恋愛こえー



なんか空気悪いなーって思ってはいたが


スマホ持ってない(ことになってる)から気が付かなかったが、俺めちゃくちゃ悪者になってたよ。


付き合って二日目で些細なことで怒って怒鳴って彼女泣かしたクズとか言われてんの。


普通に友達だと思ってた奴に「お前サイテーだな」とか言われて、『え?俺なんかした?』って聞き返したらそいつが教えてくれて、ようやく状況察したよ。


すぐ訂正させようと吉川さん捕まえるつもりが、吉川さんの周りの連中にキッって睨まれて戦意喪失した。


唯一の救いが「タローくん、怒鳴ったりしないよね?この話、ふつーに嘘だよね?」と好きだったクラスメイトの真田マリが嘘情報を信じないでいてくれたことだった。

真田マリ、マジ天使。略してマリ天。




俺、一人でトボトボ帰りながら、高校生の恋愛こえーって、既に吉川さんと別れたくなっていた。






次の日、朝から教室の空気が悪いままお昼休憩になり、吉川さんが俺の机に向かって歩いてくるの見たら怖くなって、弁当抱えて一人で教室から逃げ出した。


ウロウロしてても捕まると思って、非常階段で隠れて一人飯した。


それにしても、どうしてこうなった。

必死に自分の行動を振り返った。

俺、吉川さんのこと怒らせちゃったのかな?でも思い当たることないんだよなぁ。

にしても嘘、盛りすぎじゃね?実際は怒ってないし、怒鳴ってないし、泣かせてないし、原型とどめてなくね?


そんなこと考えてたら予鈴が鳴ったので、教室に戻りそそくさと席に着いた。

隣の新田が俺のこと睨んでて、超こえーの。


それで何か察したわ

なんかもう嘘情報が完全に事実として認められちゃってて、吉川さんに今更訂正してもらおうとしても、無理だろうなぁ。

そもそも訂正するようなら最初からこんな嘘つかないし、嘘広める必要もないしなぁ。

キツイなぁ、おれが泣かしてない証拠とか無いしなぁ。





放課後、速やかに帰ろうと席を立つと新田に「逃げるな!」って叫ばれて捕まった。

冤罪裁判の始まりだ。






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