とんでもねぇめっけもの

朝ぼろぼろの戸から零れる光で目が覚めた男は、ごっほごっほと大きく咳をした。


喉はがらがらで、おまけに家中にある埃が更に男の喉に刺さるようだ。


昨日は疲れてとっとと寝ちまったので気付かなかったが、雨漏りもひどく所々に水溜まりが出来ている。


家がある癖に俺の暮らしよりひでぇじゃねぇかと思いながら、男は男の近くに垂れた、

一番綺麗そうな水を一掬い口に含んだ。


ここらは海水ばかりで井戸が少ねぇ。


生ぐせぇ雨水だって無いよりはましである。


喉が少し潤うと、何だか無性に腹が減った気がする。


ゴロリと横に頭を転がすと、老婆が目を瞑ったまま荒い息を立てて布団に寝転がっている。


目も開けられねぇくらい目ヤニが溜まっていて、今生きているのでさえやっとだろう。

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