第18話 諦めない男…それが京介である。

母の鑑定により、京介に鍛冶能力が備わってることが判明した。

京介は、大興奮し、その日の夜ご飯の食器を割りそうになり、叱られたが、気にしない。

夢に見たドワーフの鍛冶師に絶対に弟子に取って貰うのだと、意気揚々。

ギルドに入り浸り、果ては、冒険者たちから、聞いた話で、目星はつけていた。

冒険者の間では、京介はちょっとした有名人。

ギルドに行けば、白熱して、自分達を褒め称えるのだ。

その筋肉は素晴らしいですね。とか

そんな長い剣、振り回せるのか!とか

すげえ。魔法って!キャー!!

もちろん、冒険者は、羨望の憧れを抱かれる者ではあるが、あんなに、興奮し、目の前で、誉めちぎるのは、中々いない。

遠くから、彼の父親が受付の奥から、注意をしてるが、聞いてない。

親切な冒険者が京介にある与えてしまった。

悪気は無かったのだろう。いや、京介が全部悪い。


聞いた京介は、とあるドワーフの鍛冶師の元へ見学しに向かった。

工房付き住宅で、温かみのある看板がぶら下がっている。

店の中に入ると、RPGゲームのように、出来上がった武器などが、飾られ、それだけで、大興奮。

「いらっしゃい…ん?」

店主が出てきた。ドワーフ特有の小さな体で、筋肉隆々な腕と、髭もじゃな顔つき。

「何じゃ、子供…?冒険者見習いか?」

「こんにちは!藤巻京介と言います!弟子にしてください…!」

「…はあ?」、

彼が戸惑うのも無理ない話だ。

しかしながら、京介は気にしておらず、相も変わらず、目をキラキラとさせている。

「お主…鍛冶師になりたいのか?」

「はい…!(正確には、ドワーフの鍛冶師の弟子になりたい…!)」

「今は弟子取りをしておらんが…。」

「まずは雑用からやります…!」

ヤル気満々な京介に、困惑する。

「お兄ちゃん。相手が困ってるよ。」

背後から、心配して、同行してきた煌太が現れる。

「こんにちは。煌太です。」

「おお…。」

「お兄ちゃんは無類のファンタジー好きで、手先が器用です。我が家の家具はほぼ、お兄ちゃんが作りました…!えーと、ただ、お兄ちゃんは、鍛冶能力があります。お兄ちゃんは、時たま、暴走するけど、いいお兄ちゃんです。」

フォローに来たのだ。

「…そういや、最近変わった子供が、冒険者たちを誉めてくるから、照れるとか何とか聞いたような…?」

「それは、興奮した兄がやりました!」

この店の客である冒険者が、溢した内容を思い出す。

純粋な目で、自分達を褒め称えるのだと。

「家具を作るなら、他の工房に行かんか。何なら、紹介してやらなくもないぞ?武器作りと家具作りは全然違うわい。」

「家具を作るのは、好きですが…!どうせなら、武器作りをしたい…!汗水垂らしながら、カンカンと鉄を打ちたい…!」

夢である。正に、こうなったからには、是非ともやりたい職業、ドワーフの弟子になり、いつか、自分の打った武器を、冒険者たちに使用して貰う…!ロマンがあるではないか!

「話はわかったが、お前さん、親御さんを連れてこい…まずは話はそれからだ。」

「はい…!煌太!お母さん呼びに行くぞ…!」

「待ってよー。」

バタバタ…。

「忙しいのう。」

後になぜ、この時に、強く拒むことをしなかったのか。後悔することになる。


「お母さんー。運命の相手を見つけたよー!」

「はあ?」

「ドワーフだよ。鍛冶師の…なんだっけ?」

「フフ。よくぞ聞いた。わが弟よ。あの人はな。深緑しんりょくのヴィランだよ。武器を作らせりゃあ、凄腕の達人…。」

「弟子はあの人、取ってないって。」

「諦めたら、そこで試合終了だ、わかるか?煌太!あの有名な漫画の先生すら言ってるんだから!」

「ちょっと待ちなさい。あんたたち、帰宅して説明もなしになんなの?」

いきなり、、帰宅して、訳のわからない話をされた母は、話を聞くために、二人を座らせた。

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どうも、 藤巻です。~藤巻家の異世界転移~ 春子 @0525-HARUKO

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