第14話 みんな、平和主義でしょ?
約束通り、食材を狩りに、集合した我ら。
今日は煌太も参戦。
祖父が編んでくれた孫のために、背負い籠を背負う。
祖父は、井戸の仕組みから背負い籠の作り方を何故、知ってるのか。
都会育ちの筈なのに?
「おはよう。ヴィンセント。はい。君にもこれ。背負い籠だよ。」
祖父が渡すと、良いのですか?と嬉しそうに受けとる。
「大した礼ではないですが、あの受け取ってください。師匠からも太鼓判をもらいました。以前、作った物ですが、干し茸です。」
ズイッと渡してくる。乾燥させた食べ物は、日持ちするため、よく、作るそうだ。
「これはご丁寧に…ありがとう。ユリさん、干し茸をもらったよ。」
「あら!うれしい。ありがとう。雛弥、ヴィンセント君を悪ガキから、守んなさいよ。」
「わかってるわよ。煌太。帽子、きちんと、被りなさい。」
「紐が邪魔。」
「似合ってるから。」
麦わら帽子を被る兄弟たち。
「じゃあ行きましょうか。」
採取するために、ナイフを持っているが、煌太が気になったのは、ナイフを使えば、取れるだろうか?
「お姉ちゃん。お兄ちゃん。見て。何かあるよ。」
「なに?」
「蔓?んんー?煌太、ちょい、退いて。あ!煌太、これ。山芋。とろろの元だよ!ふええ。すげえ!こんなとこに普通、あんの?」
「とろろ?食べたい!取りたい!」
「掘ってみましょうか。ヴィンセント。山芋みたいのがあったわ!見て。」
「え?」
シャベルはなかったので、雛弥が、ナイフで回りを掘る。確かに山芋は、傷つけないように回りの土を掘って、取り出すみたいな感じだった気がする。
「…それは、何ですか?」
「山芋だよ!とろろそば、とろろご飯。山芋焼き。」
「山芋?芋ですか?」
「食べたことない?美味しいわよ。痒みを気を付けながら、啜らないといけないから、慣れないと大変だけれど。あ!見えてきたわ!」
山芋の全体図が見えてきた。
よしと、雛弥が取れてきて、背負い籠に入れていく。
「味方つければ、いいなんて思うんじゃないわよ!」
あの悪ガキたちは、想像通り、やって来た。自分等より、大きな人たちを連れて。
どうも兄弟なのか、悪ガキの兄と姉らしく、兄は武闘派、姉は、口から生まれたのかなって位に、捲し立てるが、そんなもの、雛弥は気にしないし、人数が多いと、何をしてもいいという根性が、気にくわない。
あ。ちなみに、非戦闘員の京介は、煌太やヴィンセントと共に、身を隠してる。邪魔になるから。
「折角なら、あんたらの親も連れてきなさいな!よってたかって!大勢で威張り散らすことしか出来ないなんて!そんな暇があるなら、家事のひとつでもやんなさいよ!うちの煌太でさえ、不馴れながらもやってるわよ。あんたたち。煌太より大きいくせに、頭を使いなさい。ちょっと、泣くなら、やるのをやめなさいよ!」
雛弥、お得意の全員、正座させてるが、こちらの方々は、正座の文化はない。
だから、プルプルしてる。きっと雛弥が怖いわけじゃないと思う。
「人を襲う体力があるなら、その分、食材を取るなり、町の雑用で、お金を稼ぎなさいよ!そこのあんたらはそんなに口がうまいなら、それを活用しなくて、どうするわけ!己を貶めるなんて、簡単なのよ!でもね?考えてみなさい。そんなものより、自分を高めたほうがいいわ。大丈夫よ。あんたたち。根性あるもの。」
ニカッと笑う雛弥。
「お姉ちゃん…。」
唖然とする彼らを置いて、説教をかます姉に、弟たちは、ため息をつく。
一人…ヴィンセントだけが、頬を赤くしてる。
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