第13話 君は誰?
雛弥たちが保護した少年を伴い、我が家に招き入れた。
ちなみに、悪ガキたちは、放置。
いずれ、目を覚ますだろう。…多分。
「参ったわ!まさか、悪ガキがいるなんて。まあ、何処にいても、そういった類いはいるのかも知れないけど!」
「きっともう、お姉ちゃんには、やらないよ。怖いもん。」
やり返され、失神するぐらいに、伸びた姿を晒したのだ。もう無理だろう。
「怪我はないの?」
祖母が雛弥と少年を見やる。
「無いわ。あ。あなたは大丈夫?あいつら、加減を知らなさそうだったから。」
「あ…。はい…。」
「お姉ちゃん、その子、誰なの?」
怪我の様子を聞く雛弥におっかなびっくりで答える少年。
そこに、のんきな煌太が聞いた。
「改めまして。お世話になりました。ヴィンセントと言います。お礼が出来ず、申し訳ありません。」
ペコリとおじきする彼は、外見にそぐわないが、京介と同い年らしい。
数カ月前に、こちらの方にやって来た。
吟遊詩人の真似事をしてるらしく、此度、キロプスにやって来たそうだ。
「あなた、保護者の方は?」
「師匠がおりますが、何分、生活能力は、甚だ、著しく、低下してると言いますか…。」
師匠は、いるらしいが、どうも聞いてると、ポンコツらしい。
興味のあるものにしか、食いつかない。
ダメ大人の典型。
一同、うすら眼。
「あの悪ガキ…子供たちは、そのこの辺りでは有名な人たちらしく、報復にあったら、どうしましょう。」
守ってもらったが、雛弥が逆に、逆恨みを受けるのではないかと、今更、怖くなる。
「人の物を盗るようなゲスには、負けないわ。まあ、あたし以外に、狙われるかも知れないことは、考えておくべきかしら?」
人質を取られたり、手を出されるなんて、我慢出来ない。
「吟遊詩人?」
「各地を回って、話を作ったり、話したりするってことだよ。」
「へえ!」
煌太は、何か、話してよ!と言うと、わがままを言わないと窘められ、聞けなかった。
「ヴィンセントはいつも、あそこで、キノコ狩りをするの?」
「ええ。そうです。食べれそうな食材は、師匠と二人なので、そんなには、要らないんですけど、蓄えは、欲しくて。」
「あのバカな連中がまた突っかかって来ないとは言い切れないから、食材を取りに行くなら、一緒に行かない?」
「…いいんですか?」
「ええ。どんな卑怯な手を使われるかもわからないしね。」
「そうしときなよ。学習しないバカほど、厄介なものはないからさ。」
「…よろしくお願いします。」
ペコリとおじきする彼に、うなずく。
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