第11話 噂のお風呂場初体験

金持ちではないと、家に風呂場はないらしいこの世界で、割りとポピュラーな大浴場を有する風呂屋さん。

大抵は、同じ敷地内に、休憩場と言う名の食堂がついてるそうだ。

番頭さんみたいな人が中央で、受付をしている。

「銭湯みたい。」

「システム的には変わりないんじゃない?」

「そうだね。」

辺りを見渡すと、家族連れだったり、冒険者らしい人々など、様々な客が、風呂を浴びに来てるようだ。

水に困らない井戸水などはあっても、何せ、風呂の釜がないし、沸かすための道具もないので、どうしても、一般的には無理だ。

混浴システムではなく、男女別らしい。

「いい?あんたら、はしゃいで、回りに迷惑かけないのよ!」

「はーい!」

姉の忠告に、元気よく、手をあげる。

若干の不安さはあるものの、雛弥は、母と祖母と女湯へ向かう。

残された男性陣も男湯へと向かった。

「銭湯なんて久しぶりだね。」

あちらでは、銭湯自体、中々、見かけなくなった。風呂なしの家の方が、珍しく、大体、家には風呂があるのだ。中々、行く機会がない。

恥ずかしさは、全くない煌太は、勢いよく、脱ぎ、籠の中にいれる。

タオルで隠さない。家で風呂を入るときの様だ。

「タオルで体を拭くのも、限界だった…。日本人にはやっぱり、風呂は大事!」

何かを決意する兄と、行こうかとニコニコする祖父と父の後ろについていく。

イメージ的に言えば、多分、健康スパみたいな施設に似ている。

大浴場の大きな風呂から、少し狭い風呂で効能が違っている風呂に、オプションでつけられる垢擦りなど。

「健康スパみたいに近いね。意外と、拘ってるのかな?」

「まずは、汗を流そうか。」

「それもそうだね。」

風呂に対しての順応さは、早い。

煌太は、垢擦りをやってる、やたらとマッチョの胸の毛が凄くて、凝視してるのを、京介が視線をずらす。

「おー。煌太、炭酸湯だ。」

「はいるー。」

「走らない。滑る。」

「ハハハ。」

風呂にテンション高め。仕方ない。



「ーはあ。生き返る。」

寛いで、肩を浸かって、入るのは、やはり、日本人の遺伝子レベルで、組み込まれた、性だと思う。

汚れも疲れも一気に、流してしまうリラックス効果は、完璧と言えよう。

サスサスと、京介が風呂の縁を触るので、どうしたのか、聞く。

「いやあ…。流石に風呂は作れないかなと思ってさ。ベッドやテーブルは木材だし、檜みたいな木材があれば、枠組み位は出来そうだけども…。」

「専門の人の知識も技量もいるからね。お金はかかるけど、ここにきた方が、まだ洗えるし、いいと思うよ。」

「そうだよね…はあ。」

「おじいちゃん。気持ちいいね!」

「来てよかったね。」

何はともあれ、心身共々、癒される。



休憩場で合流した。どうしたって、女性陣よりは、男性陣のほうが、上がるのは、早いので、席取りをしていた。

「お待たせ。」

「どうだった?」

「気持ちよかったわ。遠慮なく、体や髪を洗えるのは、やっぱり違うわね。健康スパみたいで、ちょっと楽しいわね。」

無料の水を貰い、喉を潤す。

「美味しそうね。」

先に注文していた料理を見て、ニコニコ。

大皿に盛られた焼き飯と揚げてあるフライのような何かとスープ。

「イルミが好きな焼き飯。いい匂い。」

お肉が入っている。休憩場の食事は基本料金が安めとボリュームがあるのが、売りであり、大勢で来て、食べたほうが、お得。

材料は、豚の魔物のお肉とネギに卵のシンプルな焼き飯で香ばしい香りが、お腹が空いた胃に訴えてくる。

「取り皿は貰ってきてるから、はい。この揚げてあるフライは、中身は、野菜だって。皮の野菜包み揚げ?って感じかな?」

「おいしそう。」

グーッ。

無心で食べる。盛り盛りと。


帰る頃には、一つのアトラクションに来たような気分で、爽やかな気分で帰宅出来た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る