第10話 達成感はひとしお

急に何でもかんでも、変わりはしないが、雛弥や京介が、頑張って作った、ベッドは、意外にも、頑丈で、引っ越し当時のベッドに比べれば、ギシギシ言わないのが、嬉しい。

寝返り打つ度に、鳴るのは、軽いストレス。

二人はベッドの他にも、簡易的ではあるが、テーブルや椅子なども、作った。

煌太が愛想を振り撒き、貰えた塗料を、ペタペタと塗っていく。

仲良くなった、ミリーたち一家の手伝いもあり、着実と、生活感が出てきたように思う。

ママ友を持った母は強かった。

何が、どんな風に、店で扱っているのか、はたまた、彼処のところは、怪しいから、近寄らない方がいいとか、有意義な情報を得ている。活用するには、情報は、持って来いだ。

些細なものでも、何もわからない自分等には、大事な情報源。特にママ友の情報は、適している。

「うちでは、三日に一回、お風呂屋さんに行ってるよ。大きな大浴場があってね。男女分かれてるの。わたしは、お風呂屋さんに行ったあとの休憩場で食べるのが、好きなの。」

「そうなの?食べるスペースがあるの?」

「うん。ちょっとした食堂みたいな。お腹が空いたり、喉が渇いたら、頼むんだよ。お金はもちろん、かかるけど。そこの果実ジュースが美味しいから、オススメ。食べ物だと焼き飯が美味しい。」

「焼き飯?米があるの?」

「?あるよ。」

イルミは、話してくれた。主食はパンもあるし、米もあるようだ。

ギルドの宿で食べたパンは固かったと言うと、それは、多分、黒パンと呼ぶらしい。あ。名前一緒だと思っていたら、あれは、保存食にも適しているパンで、比較的、腹持ちもいいし、安価だから、美味しい美味しくないと言う前に、腹を満たしたいなら、それを食べればいいと手にしやすいパンで、意外と栄養価が高い。

よく噛む必要があるから、顎の筋トレに役立つかもとコロコロと笑う。

他にも、パンはいくつか、種類があると教わった。

「でも、コータのムニムニがなくなるのは、やだから、柔らかいパンをすすめる。」

「ぼくのほっぺたは、パンが固くても、どうこうならないよ?」

イルミは会うたびに、煌太のほっぺたを触る。お気に入りらしい。

手元には、二つの桶が並び、洗濯している。

こちらでは、水を張った桶に、極小の魔石を入れて、洗うのが、一般的。ギルドにいけば、誰でも買えるらしい。

ジャブジャブと何度か、やると、どんな土汚れや色による汚れなども、綺麗になる。

異世界様々。

よしっ。

「イルミ隊長、終わりましたあ!」

「コータ副隊長。こちらも終わった。よしっ。任務完了!!」

遊びに見せかけての洗濯を終えた二人は、大ボスである各二人の母親に見せにいく。

母親の合格点を貰い、達成感ひとしおである。





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