第8話どうも、藤巻です!
初出勤をする父と使わない道具を見つけにいく姉兄を見送る。
「さあ、私たちは、御近所さんに挨拶しにいきましょう。」
「うん!」
おばあちゃんが、自慢のキュウリの糠漬けを渡すといい、母は、こちらの人は、食べれるかしら?とちょっと心配している。
「おばあちゃんのキュウリの糠漬けは、美味しいから、大丈夫。」
「太鼓判を押してる、うち自慢のキュウリの糠漬けだから大丈夫だよ。ユリさん。」
「お義父さん…。」
ちょっと齧りたそうな息子を引き離しながら、そうねと微笑む。
「こっちにも似たような野菜があれば、また作れるからね。」
やったあと小躍りするボクに、祖母は、ニコニコ。
お隣に向かう。 見渡すほどの自然の豊かさと日本ほど、舗装されていない道。
雨が降れば、ちょっと大変そう。
「今日はいいお天気だね。」
「そうね。アキラさん、見て。可愛い花だわ。」
ほのぼのと会話を広げる祖父母。
「優しい人たちだといいね。」
「そうね。挨拶はきちんとしてね。見えてきたわ。」
茶色の屋根の一軒家。なんだか、鶏の鳴き声がする。
「お母さん。鶏だよ!」
「卵とか生むのかしら?」
近くまで寄ると、こぢんまりとした扉があり、トントンと叩く。
深く、深呼吸。
初めの印象が、大事。
しばらくすると、はーいと女性の声がした。
「どちら様ですか?」
ギイッと扉が開く。出てきたのは、色鮮やかな髪色をしていて、目も日本人と全く違う何種類も混ざったような複雑な色の瞳をしてる。
「おはようございます。私たち、近くに引っ越してきました。どうも、藤巻です。」
「あらあら。ご丁寧に。おはようございます。そうなんですか?私は、ミリーと言います。あっ。夫は、外出していて、いないんですが…。」
「いえいえ、こちらこそ、急に来て。」
「これ、ご挨拶のお土産に…水で洗って、切って、お食べください。」
壺から出したキュウリをせめてと見繕ったそれっぽさの壺をきちんと洗ってから、納めてきた。
祖母が渡す。
「ありがとうございます。…キュウリの?…ごめんなさい。これ、何ですか?」
「キュウリの糠漬けだよ!おばあちゃんの特製。美味しいんだよう。」
もっちり、ぷっくらとした頬をする少年に何故か、頬を触りたいと思いつつ、ありがとうございますと、お礼を言う。
「引っ越してきたって…どの辺りですか?」
「あのここから、先のちょっと古い…。」
「あー。彼処ですか。古くて誰も買い手がつかなくて…広さは、一般的にはあるんですけどね。じゃあ困り事があるんじゃないんですか?」
「実は…。」
主婦の井戸端会議が始まってしまった。
ミリーが優しい人だとわかって、安堵したものの、つまらない。すると、奥から、ミリーの子供たちが出てきた。
「だーれ?」
「どちら様?」
「あんたたち、おやめ。」
わあと囲まれた。自分と変わらない年の女の子だ。お姉さんのリンダと妹のイルミ。
リンダは、銀髪で、瞳も透き通った感じ。
イルミは、母親の髪色と反対に濃淡な瞳をさてる。二人とも可愛い。
「名前は?」
「煌太。」
「ほっぺた、触らせて。」
ムニムニ。どこでも、触られるほっぺた。
ギルドはまだ、閑散としていて、冒険者もまばら。
父は 挨拶がてらに、使っていない道具は無いか、聞いてみる。
物置にある使っていないノコギリ等、数点、譲ってもらえた。
「ありがとうございます。」
「期待してるからな。頼むぜ。」
「はい。」
「あたしたちは、これをもって、帰るわ。ありがとうございます。」
「おー。何か、またあったら、気軽にいいな。」
「はい!」
よいしょと抱える。
「坊主、嬢ちゃん。大丈夫か?」
「大丈夫でーす。」
冒険者たちががんばれよーと言ってくれる。
ギルドの外に出る。
「良かったわ。もらえて。」
「いい人たちばかりだよね。」
どうなるか、不安であったが、今のところ、順調。
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