第7話 新しい住居先
ギルド長に紹介された家は、正直、オンボロな一軒家ではあるが、手直しさえすれば、問題ない。
こちらでは、大家族に入らないが、大人四人に、子供が三人いれば、ある程度の部屋はほしいので、良かった。
二階建てで、広さはあまりないが、リビングとキッチンとトイレ。二階に三つの部屋があった。
「お風呂はないのね…。」
「どうもこちらでは、風呂を作るのは、ある程度の金持ちだけらしいね。一般人は、貸し風呂屋に行くらしい。」
「銭湯みたいな感じかな?」
家具も放置されていて、傷みが激しい。
これは、修理するか、安い家具を買い足すか、或いは、貰い受けるか。
「なるほどね。確かにそれじゃあ、あの家賃で納得だわ。」
肩を竦める母に、煌太は、何の話かと、首をかしげる。
母の話では、前借りとして、安い家賃を見繕ってきてくれた物件の中でも、ここは、町から少し遠い位置にあり、建物自体が、既に古く、誰も管理はしてないから、朽ちていくだけの建物ではあるが、一軒家と言うだけはあり、他の物件と比べても、やはり、古さを除けば、広さはある。他は、トイレが無く、共同で、しかも部屋は少なく、狭い。
「まずは、窓を開けて、換気ね。雛弥、京介、煌太、古そうだけど、また使えそうなあのベッドの修復を始めるにやるわ。手伝って。」
「はーい。」
まだ残っている報償金で箒と清潔とは言いがたいが、取り敢えず、古いシーツをさっき、買ってきた。
階段がギシギシ、言う。
某アニメ映画の真っ黒なアレが出てきそうだ。
「古民家と言えなくはないけど、この階段、危ないわね。おじいちゃんたちや煌太が踏み外したら…。」
「まずは、ベッドの修理からしよう。工作は、ボクに任せてよ!」
京介がドンと胸を叩く。図工や工作などは、何よりも得意な彼。
期待してるわと笑う姉。
二階に向かい、オンボロベッドの耐久性を確かめる。ギシギシ言うが、使えそう。
不衛生なシーツをひっぺかえし、簡易的であるが、叩きで叩くと埃が舞う。
母が、雑巾に使えそうな布を買っていて、バケツの水でバシャバシャと濡らす。
この裏に、井戸水があったのだ。まだ使えそうで、現在、尚弥が使えるように、作業中。ノウハウがあるらしい祖父がついてる。
「すぐに水が濁りそうね…。」
と言っても、仕方ない。母は、腕を捲る。
「お母さん、ボク、床拭くよ。」
「あら。ありがとう。はい、雑巾。」
学校で雑巾掛けならしたことある。
母から雑巾を受けとる。
「あたしは隣部屋の床をやってくるわ。」
雛弥は、隣部屋に向かう。
掃除に、半日以上、掛かってしまった為、買ってきたロールパンのようなサンドイッチで夕食を済ませた。
このオンボロの家で唯一良かったことは、飲める水道水がすぐに使用出来たこと。
「明日から、僕は、ギルドで、職員として、働くことに決まったから、家を頼むね。」
「わかったわ。まずは、住みやすさを先にしなきゃね。このオンボロ住居を。」
「ボク、木材とか、…ノコギリがあればいいけど、あるかな?ギルドで使用してないやつとか、ないかな?あれば、貰いたいな。一から作れるしさ。」
京介は、父に一緒に行っていいかなという。
「そうだね。聞いてみよう。」
「なら、あたしもいくわ。帰りは二人で持ち帰りましょう。」
「私たちは、御近所挨拶にいきましょう。あまり…いないけども。」
閑静な住宅街と言うには、無理がある。
田舎の近所並みとまではいかないが、この辺りは、ポツポツ。
近くて、お隣が、十メートルは先。
挨拶は大事だ。御近所トラブルは避けたい。
明日も頑張るぞー!
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