第6話 藤巻家家族会議(2)

咄嗟に部屋に戻り、どう言うことが聞いてみる。祖父はたまに、豪胆になるので、こちらの心臓にヤバイ。

「本決まりと言うわけじゃないよ。あくまでも一つの選択肢だ。聞けば、ギルドは、慢性的な人員不足らしくて、職員の手が、足りないようだから、どうかと思ってね。ギルド長さんの話では、他にも、仕事の斡旋は、あちらこちらにあるみたいだ。いくつか、見繕ってきたよ。」

「…いつの間に…。」

呆然とするみんなにいつもの優しい笑みを称える祖父。

「計算方式なんて、違うんじゃないかしら?文字は読めるけども?」

「その問題があるか…。」

「ギルド長さんの話では、もし興味があるようなら、話を聞くと言うから、お言葉に甘えよう。」

「゙帽子亭の皿洗いや簡単な調理補助の求人"

゙地下水の清掃求人゙に゙家畜の世話の手伝い、日当で払います。"へえー。」

祖父が貰ってきた求人に目を通す。

「尚弥が言っていたように、焦りも良くないから、ギルド長に相談してからでも、遅くはないね。何せ、こちらの常識は、まったく、わからないもの。」

「そうだね。これから行ってみよう。」

立ち上がる。


押し掛けてきた藤巻家に、こうなるだろうと、踏んで、対策をしていた。

「正直な話、うちのギルド職員は、慢性的な人員不足で、猫の手を借りたいぐらい、欲してる。だが、あんたの考えもわかる。で、だ。取り敢えず、これをやってみてくれ。」

渡されたのは、何かしらの書類で、恐らくは、決算的な何かかと思う。

月毎のデータと支出と収入の金額が提示されており、それを計算する。

こちらの計算の仕方がわからないが、取り敢えず、あちらの計算方法で、やっていく。

「なんか、試験みたい。」

ボソッと、雛弥が呟くが、うなずく。

更々と書いていく父は、終わったようで、どうでしょうかと、ギルド長に、手渡す。

目を通す彼は、目を丸くした。

「マジか…合ってる。」

「本当ですか?」

「ああ。これなら、直ぐにでもうちに入って欲しいぐらいだ。窓口はまだやらせられないが、裏方なら問題ないだろ?あんたが入ってくれれば、雑務するやつが、窓口に回せる。」

心なしか、嬉しそうなギルド長。

「本当ですか?」

「ああ。細々とした説明があるがな。で、あんたらの家族は仕事が欲しいのか?識字率が高そうだし、それなら、引く手数多だと思うぜ。ちなみに何が出来るんだ?」

「私は料理とか、体を動かすのは得意ね。」

「あたしも同じよ。」

「強いて言うなら、細かい作業はお手のものですかな?プラモデルなら、お任せあれ。」

「僕も?んー?お皿洗い?」

祖父母は免除だと、両親が止めた。煌太も幼いからと免除だと言ったが、いくつだ。と聞かれたので、8才だと答える。

すると、8才なら、簡単な仕事を請け負ってる子供は多いらしい。

お手伝いレベルの皿洗いでも良いのだろうか?

「ここでは、定職だけでなく、日当の場合もある。参考程度に頭に入れておけ。尚弥がうちに入るなら、前借りとして、貸家用だが、家を用意する。まあ、家賃は、給料から引いた差額を渡す。」

「そんな厚待遇で?」

「うちはマジで人手が足りねーの。少しの援助で、いいなら、御安いこと。結局は、給料から、引くがな。」

ワハハハと盛大に笑う。

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