第2話 いきなり、遭遇しちゃったよ…!!

辺りを見渡せば、広野。

煌太は、悲しげに、キュウリを土の中にいれる。

「日本の何処かでも無さそうな感じだね?見たことない景色だ。」

「あなた…見て。足元。靴を履いては無かったのに、履いてる。」

「あ!」

父と母は、変化を探し、母が、履いてなかった靴を履いてることに気づいた。

「これはあれですぞ!異世界転移…!!藤巻家は異世界に転移されたんだよ…!!」

「異世界転移って、確か、あんたがハマってる漫画にもあったわね?それが今、あたしたちに起きたって事なの?」

兄が興奮ぎみに話す。鼻から荒い息を噴射する横で姉は、何かを思い出すように聞いてる。

「壺は重くないか?持とうか。」

「ありがとう。アキラさん。」

祖父母だけ、回りが、ほのぼの。

「なら、まずいんじゃないの?あたしは、あまり詳しくないけど、そういったのって、帰れないことが多いでしょ?」

「それがネック…!!バイブルを持ってくれば…いやいや、とりあえず、お母さん、お父さん、小さくとも町を目指そう。歩いてれば、人に会うかも知れないし。」

「それもそうだね。」

「おじいちゃん。壺を貸して。あたしが持つわ。二人とも疲れたら直ぐに言うのよ!」

「煌太。おいで。手を繋ぐわよ。」

確かにここで日が暮れたら大変だ。どちらに向かうは、運次第だが、もし、町があれば、出来れば、人に遭遇したら、尚良し。

「京介、あんたが頼りよ!」

「任せんさい。」

ドンッと胸を叩く。



今、森の中を散策中。広野からまっすぐ、歩いてきたら、木々が多い森があり、一応、道らしい通りになっていたので、その道筋を歩く。

「ハイキングコースみたいね。」

「水辺があれば、渇きも癒えるのだけど、ないし、無闇に練り歩くと、危険だからね。」

父が先頭で歩き、その後ろに、母と煌太、その後ろに、祖父母、最後尾に、雛弥と京介が並ぶ。

「ちょっと待って。」

母が、大声を出す。

「どうしたの?」

「何人かの足音がするわ。こちらに向かってる。砂利を踏むような足音…。」

母は、耳を澄ます。父は先頭で何だと身構える。

「…最悪な事態でしょー!!」

京介が叫ぶ!

なぜならば、目の前にいるのは、見た感じから、盗賊の格好で、汚れた服装に絵に描いたような顔隠ししてる。

サバイバルナイフみたいな鋭利な刃をこちらに向けてる。

「なんだ。お前ら。」

「金目の置いておけ。であれば、見逃してやる。」

「お父さん…こいつらに何を渡しても、どうせ、殺しにくるよ!そういう定番だよ!」

「うるせえ!!」

ビクッ。

「お母さん…。」

煌太は母にしがみつく。怖いのだ。

京介は頭をフル回転しつつ、現実の打破を考えるが、こういった定番のスキルが出てきたり、魔力をぶっ放せたり、ステータス等が見られるようになってるのでは?と考えていたが、さっきから、何をしても、なんも出来ない。そんなのアリか。

相手は、目の前に五、六人。もしかしたら、待機してる仲間がいたら、その数は未知数。

「ガタガタ、うるさいわね。人に刃物を向ける根性が、気にくわないわ。煌太。おばあちゃんに抱きついてなさい。」

「お母さんの言う通りだわ。この三下野郎共。」

「ユリ…!雛弥…!」

「あなたは後ろにいて。任せて。」

煌太は、祖母に抱きつく。力強く抱き締められて、震える。

雛弥は、壺を京介に渡して、出てくるんじゃないよと釘を刺す。

「誰が誰を殺すですって?」

「なめんじゃないわよ!」

生まれつきの怪力と、絡まれやすさから、強くなった彼女らは、怯まない。

しかも二人の習っているものが、護身術。

相手が殺気を放てば、容赦なく、潰す。怖いだの言っていたら、家族は守れない。

「後悔させてやるわ…!」

二人が暴れる。



「はい!!出ました!お母さん得意の飛び蹴りー!!おっと相手は、倒れたあ!おー。お姉ちゃん、すげえ。俊敏。容赦ないえげつないとこを掴んでる!!何だが、俺の息子も痛い!」

突如始まる、京介の解説。

「あ!お父さん…!あ!」

父目掛けて、刀を振ろうとした愚か者は、母による怒りの制裁が始まる。バックドロップと極めつけのかかと落とし。

「このちびデブ、素早い…!」

「ちびデブ?」

「あ…!」

青ざめる京介。言ってはならない禁句を言った。

「あたしの何処がデブが言ってみなさい!!!」

猛突進で、襟首を掴み、引き寄せ、顎に、強烈な膝アタックと後頭部に拳骨。

屍累々の盗賊たち。危険だからと失神させた。

「すげえ…。」

「ユリ…!雛弥…!怪我は?」

「大丈夫。あら。見て、いいのを持ってるわよ。こいつら。水筒かしら?中もあるみたいね。贅沢はいってらんないわ。これで我慢ね。」

「何個か、武器を拝借しましょ。また襲われるかも知れないしね。」

「どっちが盗賊がわからない。」

母と娘による追い剥ぎが始まる。

思いもしなかったろう。ただの一般人にしてやられるなんて。南無…!

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