どうも、 藤巻です。~藤巻家の異世界転移~

春子

第1話 キュウリの糠漬けを食べてたのに…

平凡な藤巻家では、日曜日は、ゆっくり、家で過ごすことが多く、今日も、居間で、集合。祖母の糠漬けのキュウリの拵えをしてる側で、手を伸ばそうとし、母にやめなさいと意地汚いと止められる。

縁側で日光浴している祖父と父は、だらだらとおしゃべりをし、兄は、録画してるアニメを見て、姉に時折、説明している。

なにも無い平和な日曜の真っ昼間。

…だったのに。


待てが終わり、キュウリを齧ろうとした矢先、地震が起きた。

「なに!?」

咄嗟に母が、自分と祖母を庇い、姉は、兄を押し倒す。

すると、目映い光に包まれ、音が消えた。



「…!?」

父の尚弥は、辺りを見渡す。被害状況を確認するために。日本なら、地震はよくあるが、あのような凄い揺れは稀だ。

「尚弥…大丈夫か。」

側にいた祖父のアキラが、気遣う。何処にも怪我はないようだ。

「母さん、ユリ、京介、雛弥ひなみ、煌太。大丈夫か?」

「大丈夫。」

「こっちも平気よ!」

雛弥は、京介を下敷きにして体全体で覆っていた。ゆっくり起き上がる。藤巻家は、ちょっとぽっちゃり体型が多く、体重を掛けられていた京介は、うう…と呻く。

ユリは、煌太と母を見て安堵する。祖母の腕には、糠漬けの壺が握りしめられていた。

「ここは?」

辺りを見渡す。家にいたはずなのに、外にいる。しかも何処かの道の真ん中。

地面が土だ。日本の都会育ちでは、珍しい。

「私たち、どうなったの?」

ユリの言葉に、確かにと思う。

「これは…もしや…!?」

「なにもないわね。」

「あー!キュウリが落ちたあ!」

「まだあるから大丈夫。」

「さて。」

これから藤巻家の受難が幕を開ける。

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