第3話 ようやく見えてきた希望の光

奪った水筒には、満タンまではいかないが、水分補給に役立った。

武器は扱いやすいものを奪ってきたので、ナイフを中心に各々、持つ。

「見て。看板だよ…!」

父は、看板を見つけた。どうやらこの山道から、町までいく道のりが記載されてる。

文字がわかるか、不安ではあるが、見る。

「…。」

文字が読めた。

「なんと!文字が読めるのは、一応、チートになるのか?」

「よかったわ。読めた方がいいもん。」

「現在地がここで、こう通れば、この町に行くみたいだ。名前は、゙キロプス"。そんなに遠くなさそうだ。」

「お義父さん。お義母さん。大丈夫?休む?」

「平気だよ。足腰には自信があるからね。」

「ええ。」

えっと…と回りが話してるのを横目に、煌太が何かを 見ていた。

「お母さん…。」

「ちょっと待っていてね。なに?」

「狼がいるよ。」

「え!?」

咄嗟に其方に向くと、何と言うか。確かに狼らしい犬のような顔だが、二足歩行で、背丈は高く、ゴツい。しかも背中には、大剣を挿してる。

その狼の前後にも同じように鍛えたらしい動物の顔がついた、猛者らしき人物たちと、人間でもやはり強そうな大男がこちらに向かってきた。

「あんたら、なにしてんだ?」

その中の人間の男が聞いてきた。

「ウッヒョー!!冒険者…!?しかも回り…獣人! ?かっけええ。」

「落ち着きなさい!ばかっ。失礼でしょ!」

中二病の心臓を射止めた、冒険者(仮)。

弟の無礼に反応した姉がスパーンと叩く。

「すまない。町まで行きたいんだが、迷ってしまって。」

「どこに行きたいんだ?」

「このキロプスに…。」

「ちょうどいい。俺らも行くんだ。ついてくるか?」

「良いのか?」

「もちろん。ここは、最近、盗賊が出て、危ねーぞ。あんたら、大丈夫だったのか?」

「盗賊?」

思い返されるさっきの出来事。

「お母さんとお姉ちゃんがやっつけた。」

「は?」

小さい子に、内緒事は難しい。

煌太が喋る。

慌てたのは、相手らで、仲間の半分が、捕縛しに向かい、残りは、自分達を護るためにいてくれるそうだ。


しばらくして、戻ってきた。縄でぐるぐる巻きの盗賊を引き連れた獣人たち。

「よく無事だったな。」

そう言われた。確かにこちらはどう見ても一般人。

「じゃあ、とりあえず、キロプスまで行くか。」

「はい。」

キロプスまでしゅっぱーつ。



町の前には、大きな門があり、誰かが立っている。

「ふぉ。あれは、門番…!」

「 カードを…!《身分証明書》」

「ねえ。カードってあたしたち、どうするの。そんなもん、ないわよ?」

先行してる冒険者たちが、事情を門番に話している。一人の門番が中に入り、待機を命じられた。

「ギルド長に説明しなきゃ、いかん。もう少し待ってくれ。」

さっき聞いた話では、彼らは、冒険者で、A級冒険の゙疾風迅雷"と言うチームで、リーダーは、人族のアンリさん。

狼の人は、ダン、獅子のガルティオ。

羊のクルジア、牛のウルシパ。

獣人に驚く様に、もしかして、遠くから来た家族で、何かしらの理由で国を出てきたのかとえらく、同情された。


門番の後ろに如何にもアウトローが似合うような大人の男。咥えタバコで眼帯で左目を隠してる様が、うちの中二病に胸キュン。

「ぎょわわー!!かっけえー!」

「やめなさい!」

「おばあちゃん、お兄ちゃんが…。」

「元気だね。」

発作を起こす京介を尻目に、なにやら、アンリさんと話してる。父が呼ばれ、説明を求められてる。

「ギルド長として、許可する。入れ。 ああ、捕まえた奴等は、屯所に連れてけ。」

「はっ!」

門番に命じる様を京介はカッコいい!と叫ぶ。落ち着け、ばかっと、姉に小突かれてる。

「外国にはいろんな人がいるね。」

「海外は初めてだね。」

「ここは外国じゃないと思うよ?」

祖父母の感想に、つい、突っ込む。

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