新規事業にご招待

山田のほほを叩いても今頼れるのは山田しかいない。

仕方なく山田の後をついていくしかないようだ。

山田はスマホをいじりながらどんどん進んでいく。

「ねぇ、あなた」

「え?」

「彼女いないでしょ?」

「ふぇ」

山田から変な言葉が出る。

「だって女の子と歩いてて歩幅を合わせない男はモテないのよ」

「僕は不純な人間じゃありません」

「恋なんて不純だけど人類の進歩なんて果てしない不純の上になりたっているのよ」

おこる山田にこう答える。

「それは。。。」楓の言葉はある種真実だからしかたない。


そんな感じで喧嘩をしながら二人は進み大きなビルの前で山田は止まった。

「ここなの?」

「ええ。ここです」

そういうと山田は機械に手首をかざした

「おかえりなさいませ。山田様」

機械から声がしてドアが開く。

エレベーターに乗ると自動で階数が表示されドアが閉まる。

大きなビルなので高速で上まで登ると止まった。


「おかえりなさいませ、山田様」といってペッパーみたいなロボットが迎えに来る。

「これ知ってるわ。」この世界で初めて共感できた瞬間

「ええ先週やっと修理が終わりましてね。去年までスクラップで捨てられてまして」 と言われ

「そんなぁ」

お寿司屋さんの受付をしたのを何度も見たけれどまさかスクラップとは。

がっかりしたのだが山田の会社の中に入ると驚いた。

なんと機種変する前まで使っていたスマホなどが並べてある。

「懐かしいわ」そういうと

「みんな捨てられてたんですがね」という。

「なんかそれつかってた私が否定されてるみたいじゃないの」

「ちょうどこの型がなくって」山田は話を聞いていない。

楓はソファーにドスンと腰をおろし

「で社員さんはいるのかしら?社長さん」と聞いた。


「社員はロボットだけですよ。本当に彼らは休まないし文句も言わないしすごいです」

「私の時代ではそういうのブラック企業っていうのよ」

「あー教科書で習いました」

「ほんとに人をおばあちゃん扱いして」年は変わらないのに劣等感を抱いてしまう。


「で。会社としては何をやってるの?」

「まあいろいろですよ。こちらでは株式の売買を行っていて、こっちでは中古製品の修理販売を。こっちでは。。。」

「もういいわよ。で私みたいなおばあちゃんを拾ったのはなんでかしら?」

「おばあちゃんだなんて。いえこれからわが社が新規事業をお手伝いいただければとおもいまして」

「どんな手伝いよ?」

「昭和平成時代いやかつての日本にあったものを復活させてブームメントを起こそうとおもっています。」

「私は平成生まれなの昭和は知らないわよ」

「まあ平成で無くなったものも多いですからね」

「人を過去の遺物扱いして」

「まあお給料は弾みますよ」

「まあ、手をうつわ」即答だ。

「今日はとりあえずホテルを取ってありますんで、今タクシー呼びますね」

そういうと山田はかけていた眼鏡で先ほどの漁師さんと同じようにタクシーを呼んだ。

とにかく今日は疲れた。たとえ数十年後の世界でも人類に睡眠は必要なのだ。

こうして楓の未来生活は始まった。

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